2012 Fiscal Year Research-status Report
流動複屈折を用いた圧力振動場における2気泡間の応力測定とその応用
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23560195
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 修一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293738)
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Keywords | 非ニュートン流 / 粘弾性流体 / 流動複屈折 / 伸長粘度 |
Research Abstract |
本研究では、圧力振動場での気泡近傍の流れや2泡間の流体力学的な相互作用が気泡上昇速度を促進させるメカニズムについて、流動複屈折現象を利用し、弾性応力が果たす役割を解明する。平成24年度は、圧力振動場における気泡の膨張収縮による気泡近傍ならびに気泡間の流動複屈折データの蓄積を実施した。気泡間距離、周波数、気泡サイズを系統的に変化させながら、データ蓄積と整理を行った。まず、光学セルを用いた実験を行い、2気泡が移動する場での挙動について、国際学会、国内学会にて発表を行った。壁面に囲まれたセル底面側から気泡表面に接近した場合の応力の増加挙動は、単一気泡の場合とほぼ同じ挙動が得られたが、2気泡間の流動複屈折の挙動は、それよりも大きな複屈折が得られ、気泡近傍に微細な流動構造が存在することを示唆する内容である。 一方、回転式装置における圧力振動印加時の気泡近傍の流動複屈折分布を詳しく調べると、同じ気泡近傍の位置にあっても、2気泡の間に位置する気泡近傍の複屈折の大きさと、その反対側での気泡近傍の複屈折の大きさに差が認められることがわかった。回転円筒型の流動複屈折は、1ビームを用いた計測方法であり、精度は高いが、その現象の解釈に困難を伴った。そこで、連携研究員の長岡技術科学大学高橋勉教授を通じ、フォトロン社の大沼氏より2次元偏光計測できる偏光高速度カメラをテストを借用し、今までの蓄積したデータの解釈の補助に役立てた。200Hzでの圧力振動場にて、単一気泡近傍の流動複屈折の2次元分布を毎秒2000コマで撮影することに成功した。微小気泡近傍の微細な流動構造について、重要なデータが得られつつある。また、フォトロン社にとっても気泡近傍の応力分布の2次元構造の時系列データが得られたという興味深い結果が得られ、今後、共同研究を行うことになった。成果の一部を化学工学会第78年会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画は、圧力振動場における気泡近傍の流動複屈折に関する実験データ収集と整理を実施し、学会における成果発表を行うことである。圧力振動に伴い気泡間の微小流体の伸長変形と流動複屈折に関するデータの蓄積が行われつつあり、レオロジー国際会議(ICR2012)、日本機械学会年次大会2012、化学工学会第78年会にて成果発表を行うことができた。さらに偏光高速度カメラという新しい手法を活用することが可能となり、蓄積されたデータを多角的に解析できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も引き続き回転円筒型圧力振動発生装置と光学セルを用いた実験をおこない、圧力振動場における気泡の膨張・収縮による気泡近傍と気泡間の流動複屈折データの蓄積を実施する。また、偏光高速度カメラの借用を今年度も行う予定であり、この結果を合わせてデータ整理と解析を行う。整理出来た部分から、学会発表と論文発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の主な使途は、消耗品と旅費である。消耗品は、石英ガラス製回転円筒の材料費や加工費、薬品類に使用する予定である。旅費に関しては、国内学会発表、粘度測定、連携研究者の招聘である。その他、論文発表のための英文校正などに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)