2011 Fiscal Year Research-status Report
油水急速混合機構を用いた高負荷燃焼による難燃性燃料バーナ燃焼のCO2低減
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23560234
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸口 善行 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70294717)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 燃焼 / 燃料 / 燃焼生成物 / バーナ燃焼 |
Research Abstract |
本研究では,難燃性燃料のボイラ用バーナ燃焼において水エマルジョン化をしないで水を燃焼場で利用することが特徴である.このため難燃性燃料用の油水急速混合噴射弁を開発する.平成23年度は,菜種油を試験燃料とした燃焼試験を行い,油水急速混合機構を有する噴霧バーナの性能を,従来型の外部混合噴霧バーナの性能と比較した.燃焼試験では噴霧バーナに供給する燃料および空気の流量,燃料に対する水割合を任意に変更できる装置を製作し,火炎下流で熱電対および排気ガスサンプリングプローブを配置することにより排気ガス温度,排気ガス成分濃度(窒素酸化物NOx,一酸化炭素CO,二酸化炭素CO2,酸素O2,微粒子)が計測できる試験装置を確立した.これにより,初年度に計画していた油水急速混合装置の確立・最適化,およびバーナ燃焼試験方法の確立は達成した.研究の成果では,外部混合噴霧バーナの性能として以下のことを示した.1.内部急速混合型油水噴射ノズルには,水エマルジョン燃料と同等のNOxおよび微粒子低減効果がある.2.油水急速混合機構では,水導入割合の増加とともに,火炎温度は低下しNOx濃度が低下する.一方,二次微粒化により微粒化特性が向上して微粒子が低下する.3.菜種油燃料では燃焼が困難である高負荷領域において,内部急速混合型油水噴射ノズルにより水を導入すると,微粒子排出量を低下させる効果が大きい.この結果から,内部急速混合型油水噴射ノズルは難燃性燃料に有効であることが示唆された.また,次年度も引き続いて計画通り各種燃料について燃焼試験を進めて問題ないことを確認した.このほか,油水急速混合機構の解析について調べるために必要な装置として,23年度には噴霧可視化試験装置の製作にとりかかった.現在,本体装置の製作が完了し,光学系の構築を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
燃焼試験方法が確立できた.燃焼試験により,排気性能の点から油水噴射ノズルの有用性を明らかにした.噴霧可視化試験装置は本体が完成した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,23年度に確立した燃焼試験手法を踏襲し,試験変数を変更して油水急速混合噴射弁による難燃性燃料,バイオマス燃料のバーナ燃焼をさらに評価していく.また,油水急速混合の効果をさらに明確にするため,水を用いない燃料単体および水エマルジョン燃料の限界マップとの比較も行う.このとき,必要に応じて,燃料性状に適合する噴射弁の改良を実施する.これに加えて,油水急速混合噴霧の微粒化特性を明らかにすることを目的に,噴霧の可視化を試みる.これにより,油水噴射弁による燃料の微粒化機構を解明するとともに,水利用による燃焼場での物理的な混合促進が燃焼と排気に及ぼす効果について考察する.さらに,水利用バーナ燃焼によるエネルギー効率を評価することを検討する.このため,燃焼により発生する熱量の評価手法を確立する.ここでは,簡便な方法としてバーナ火炎下流に水管を配置し,燃焼による発熱量が水管の水温上昇に転換されるとして水管内の水温変化を測定する方法を試みる.この測定方法を確立できない場合には,実ボイラを導入してボイラ効率による評価を検討する.測定では,投入燃料の発熱量に対する水管の受熱量を求め,基材燃料と水エマルジョン燃料との比較,水エマルジョン燃料と3流体噴射弁による水・燃料独立供給燃焼との比較,低負荷燃焼と高負荷燃焼の比較を行い,燃料消費量をもとにエネルギー効率を定量化する.これにより,水利用による燃料消費の低減効果を把握する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は,実施計画に基づいて進める.とくに,内部急速混合型油水噴射ノズルの有用性を確認したことを受けて,噴霧可視化観察に重点をおくこととする.研究費は繰越額と合わせて当初計画通りに使用する.今後は実験データの採取を中心に進めるため,直接経費は主として消耗品購入に使用し,高額の備品購入は予定していない.この他,学会での成果発表,調査のために旅費による支出を計画している.
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Research Products
(3 results)