2011 Fiscal Year Research-status Report
省エネルギーに貢献する新構造PM補助突極形同期機の要素技術研究
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23560343
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
島 和男 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (20410285)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 同期機 / 永久磁石 / 出力密度 / 有限要素法 / 三相突発短絡 / 不可逆減磁 / 弱め界磁 / 省資源 |
Research Abstract |
永久磁石(PM)補助突極形同期機(PMaSM)を対象として,連携研究者と研究を進めた。申請書の23年度計画の通り,有限要素解析を用いた最適化を実施した。得られた形状に基づいて実機(高出力PMaSM)を試作した。本機の性能を測定した。同体格の旧PMaSMおよび,PMを有しない従来の同期機と比べて,出力密度がそれぞれ1.1倍および1.4倍向上した。電圧波形歪みや効率は同等であった。本研究成果を電気学会全国大会で発表した。電気学会回転機研究会,ICEMS,電気学会論文誌にも投稿予定である。問題点として,出力向上の結果,現有の駆動モータの定格容量では不足となったため,試作機の定格負荷時の測定が実施できなかった点がある。このため,24年度に大容量駆動モータを備えた試験設備を購入・整備して,定格負荷時の測定をする。申請書の24年度計画では,突発短絡時のPMの不可逆減磁防止策を立案する,としている。この事前研究も実施した。すなわち,以前の解析で,機器形状によっては突発短絡事故時にPMが不可逆減磁することが明らかになっていた。しかし,この解析の精度を実機検証していなかったため,今回実施した。この結果,解析の精度が非常に高いことを明らかにした。研究成果を電気学会産業応用部門大会に投稿予定である。ただし,もし本試験で不可逆減磁に至るとPMが性能を失って他の各種実験が実施不能となる。これを避けるために低電圧の試験のみ実施した。このため不可逆減磁が起きる高電圧の試験は今後計画・実施していく。申請書の25年度計画を前倒しして,有限要素解析による弱め界磁運転時の特性解析を実施中である。以上の研究の意義・重要性は次のとおりである。PMaSMの一層の高出力化を達成できた。不可逆減磁防止策を立案するための解析の妥当性を確認できた。弱め界磁運転時においてもPMaSMが有用であることが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の平成23年度計画の通り,有限要素解析を用いた最適化および,実機を試作しての性能評価を実施できた。学会発表も予定通りである。したがっておおむね順調に進展している。ただし,出力向上の結果,現有の駆動モータの定格容量では不足となったため,高出力PMaSMの定格負荷時の測定が実施できなかった問題点がある。これは24年度に試験設備を購入・整備して解決する。申請書の24年度計画では,突発短絡時のPMの不可逆減磁防止策を立案する,としている。この事前研究も実施したため,順調である。ただし,実際に不可逆減磁が生じると試作機が性能を失って各種実験が実施不能となる。このため不可逆減磁が起きるような高電圧の試験は,試作機が壊れても差し支えない程に各種測定を実施し尽くした後に実施することとする。よって,高電圧試験は研究の最終段階の時期にまで後回しとする。申請書の25年度計画を前倒しして,有限要素解析による弱め界磁運転時の特性解析を順調に実施中である。この意味では当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き永久磁石(PM)補助突極形同期機(PMaSM)を研究対象として,連携研究者と共に研究を進める。交付申請書の平成23年度計画の内容についてはほぼ達成した。ただし,出力向上の結果,現有の駆動モータの定格容量では不足となったため,23年度試作機の定格負荷時の測定が実施できなかった問題点がある。24年度に試験設備を購入・整備してこれを解決する。また,23年度の試作の結果を踏まえ,引き続いて制約条件を変更して最適化を実施中である。この結果,本試作形状とは大きく異なる形状で,かつ出力が更に向上する構造が見いだされつつある。このため,24年度は本最適化を継続し,得られた形状で第2弾試作機を製作する予定である。申請書の24年度計画では,突発短絡時のPMの不可逆減磁防止策を立案する,としている。しかし,24年度計画を実行すると,試作機が性能を失って各種実験が実施不能となる。このため不可逆減磁が起きるような高電圧の試験は,試作機が壊れても差し支えない程に各種測定を実施し尽くした後に実施することとする。すなわち申請書の24年度計画の内容は,25年度に遅らせる可能性がある。申請書の25年度計画を前倒しして,有限要素解析による弱め界磁運転時の特性解析を実施中である。これを24年度も引き続き実施する。25年度計画の実測も前倒しして,24年度に実施する。このためにPMaSMをモータとして可変速運転するための試験設備を購入・整備する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額447,853円が生じたため,今年度請求額1,700,000円と併せて使用する。23年度試作機の定格負荷時の測定が実施できなかった問題点を解決するために,試験設備を購入・整備する。最適化の制約条件を変更して見出した新たな構造の試作機を製作する。試作機をモータとして可変速運転するための試験設備を購入・整備する。一連の研究に必要な有限要素法の解析ソフトウェアの保守契約を更新する。学会発表のために旅費と参加費を使用する。
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Research Products
(1 results)