2012 Fiscal Year Research-status Report
省エネルギーに貢献する新構造PM補助突極形同期機の要素技術研究
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23560343
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
島 和男 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (20410285)
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Keywords | 同期機 / 永久磁石 / 出力密度 / 有限要素法 / 不可逆減磁 / インバータ / 弱め界磁 / 省資源 |
Research Abstract |
永久磁石(PM)補助突極形同期機(PMaSM)を対象として,連携研究者と研究を進めた。 申請書の計画では,突発短絡時のPMの不可逆減磁防止策を立案する,としている。しかし,これを実行すると,試作機が性能を失って各種実験が実施不能となる。このため本件は実施しなかった。研究の最終段階の時期まで延期する。ただし,前年度に実施した本件に関する成果である,解析の精度の実機検証について電気学会産業応用部門大会で発表した。 前年度に生じた問題点の解決に取り組んだ。前年度の試作機では以前よりも出力が向上した結果,現有の駆動モータの容量では不足となったため,定格負荷時の測定が実施できなかった。試験設備を購入・整備してこれを解決した。本成果を電気学会回転機研究会とICEMS国際学会で発表した。電気学会英文論文誌Dに投稿した。 前年度の試作結果を踏まえ,制約条件を変更してさらなる最適化を実施した。前試作形状とは大きく異なる形状で,かつ出力が更に向上する新構造を見いだした。本成果を電気学会全国大会で発表した。新構造で第2弾試作機を発注した。試作機は次年度の4月に納品された。 申請書の25年度計画を前倒しして,前年度に引き続いて有限要素解析による弱め界磁運転時の特性解析を実施した。この結果,弱め界磁運転時においてもPMaSMが有用であることが明らかになった。本成果を電気学会回転機研究会で発表した。また,弱め界磁運転時の測定を実現するための測定設備を構築した。従来機による試測定に成功した。 以上の研究の意義・重要性は次のとおりである。解析によって,PMaSMのなお一層の高出力化を達成できた。また,弱め界磁運転時においてもPMaSMが有用であることが明らかになった。次年度はこれらを実機検証する。これらの成果は,PMaSMの研究段階から実用化までの間のいわゆるデスバレーを解消するために重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前記の各研究成果はほぼ前年度の実施状況報告書の今後の研究の推進方策に記載の通りのものである。学会発表も多数実施した。したがって,全体としておおむね順調に進展している。 ただし,前年度の実施状況報告書の予定では第2弾試作機を当該年度中に製作するはずであったが,実際には最適化に時間を要したために次年度の4月になった。これはやや遅れている。しかし,この遅れは今後の研究に影響がないため問題ない。 申請書の25年度計画を前倒しして,弱め界磁運転時の特性解析および測定を順調に進めている。本件は申請書の計画以上に進展している。 申請書の計画のうち,突発短絡時のPMの不可逆減磁防止策を立案する件については,前記の理由により本研究の最終段階の時期まで延期する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き永久磁石(PM)補助突極形同期機(PMaSM)を研究対象として,連携研究者と共に研究を進める。また,研究成果を速やかに学会発表する。 納品された第2弾試作機の測定と解析を実施し,出力が更に向上するかどうかを検証する。この成果を踏まえて,PMaSMの設計指針を構築する。 当該年度に引き続いて弱め界磁運転時の特性解析を実施する。また,当該年度に構築した,弱め界磁運転時の測定を実現するための測定設備を用いて,PMaSMの測定を試みる。これらによって,インバータ運転や弱め界磁運転によるPMの効果および問題点を把握する。 申請書の計画のうち,突発短絡時のPMの不可逆減磁防止策を立案する件については,前記の理由により次年度には実施せず,その先に延期することになる見込みである。 交付申請書には記入していないが,研究段階から実用化までの間のいわゆるデスバレーを解消するために重要なテーマとして,過渡状態を考慮したPMaSMの設計法の構築が挙げられる。次年度はこれにも取り組む。具体的には過渡状態の特性を計算できる磁気回路計算法を新規に構築する予定である。この計算結果を23年度に実施した実機試験結果と比べることにより,磁気回路の精度を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額1,140,112円が生じたため,次年度請求額400,000円と併せて使用する。すでに2013年4月に第2弾試作機に1,231,545円を使用済みである。したがって今後の残金は300,000円ほどと少ないが,次の用途に使用する。第2弾試作機の測定に必要な実験装置や消耗品を購入する。試作機をモータとして弱め界磁運転するための実験装置や消耗品も購入する。学会発表のために旅費と参加費に使用する。
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Research Products
(5 results)