2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポリシラン金属触媒による還元反応を用いたキノン構造分子への水素貯蔵に関する研究
Project/Area Number |
23560346
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大下 祥雄 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10329849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 英明 気相成長株式会社(CVD研究部及び合成研究部), その他部局等, その他 (30535670)
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Keywords | 電力工学 / エネルギー貯蔵 |
Research Abstract |
本研究においては、太陽電池とポリシラン金属触媒を組み合わせ、太陽光エネルギーを安定な分子の形で保存することを目的とした。具体的には、太陽光発電システムを用いて水を高効率に分解する。その後、ポリシランに坦持させたパラジウムなどの金属を用いて水素分子を分解しプロトンを生成する。次に、生成したプロトンを、キノンなどの分子中に二重結合の形で存在する酸素と反応させ、それら水素をOHの形で分子に添加し、太陽光エネルギーを分子の形で保存する。実験的には、ステンレス製の容器の中にポリシラン-パラジウム触媒を詰め、ユビキノンなどの溶液と水素ガスを室温で流した。その結果、ユビキノン分子中において二重結合で存在する酸素に対し、触媒により分解生成したプロトンが付加されOH基が出来た。同様な結果は他のキノリン分子に対しても得ることが可能であった。一方、将来展望を考えて量産可能な天然物由来のグルコース系分子に対しては十分な結果が得られなかった。 本研究を通じて、ユビキノンなどの分子にプロトンを付加することが示された。これは、太陽光発電により得られたエネルギーを分子の形で保存する本システム実現の可能性を示すことができたことを意味する。一方、実用化にはグルコースなどの分子を用いることが重要である。加えて、水素添加した分子から水素を取り出すプロセスの確立も必要不可欠である。これらの点に関しては課題が残されたが、今回得られた知見をもとに、それら汎用分子へのOHの付加とそれら分子から水素を再び取り出す技術を実現できることが期待される。今後も、提案システムが実現されエネルギー問題に対し貢献すべく研究を進めていく。
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