2012 Fiscal Year Research-status Report
定着用膨張材によるPC鋼材の簡易中間定着具の開発と定着機構
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23560552
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原田 哲夫 長崎大学, 工学研究科, 教授 (50136636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 謙二 長崎大学, 工学研究科, 助教 (20575394)
永藤 政敏 長崎大学, 工学研究科, 技術職員 (00398182)
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Keywords | 定着用膨張材 / PC緊張材 / 中間定着 / 定着具 / プレストレストコンクリート |
Research Abstract |
平成24年度研究計画の1.~4.は平成23年度に引き続き実施した。実施状況と研究成果は以下の通りである。 1. 簡易中間定着具の開発: 緊張状態にあるPC鋼材を半割れ状態の鋼管スリーブを上下にセットし,それを拘束するC形鋼材を順次挟み込む定着具を開発した。C形鋼材の拘束で,所定の膨張圧が発生することを複数の試験体で確認するとともに,簡易中間定着具の実用性についても検討した。 2. 現場での膨張圧の管理方法の検討: 開発した定着具はC形鋼材で構成されているため,簡易型圧力計による計測位置の確定とともに,現場での簡易的な膨張圧管理方法のあり方について,実験的な検討を行った。 3. PC鋼材の種類と必要定着長に関する実験的検討: PC橋の横締めに使用されているPC鋼棒とPC鋼より線を対象とし,PC鋼棒ではφ23,φ26,PC鋼より線では1T17.8を用いて,40MPaの膨張圧で設計緊張荷重をどの程度の損失で定着できるか,また「付着長」が鋼材の種類によってどのように影響するかについて検討し,データの蓄積を図った。 4. 定着機構の解明と解析的検討: 昨年度は,定着用膨張材層は,PC緊張材の引張力を鋼管スリーブに伝達するせん断バネの役目を果たしているとの定着機構を明らかにした。このせん断バネ特性をq-S関係として表示し,q-S関係を用いたPC緊張材,鋼管スリーブそれぞれの変位に関する連立微分方程式を誘導した。この連立微分方程式をスリーブ長を変化させるなどの多くの事例について数値解析を実施し,付着長や必要定着長を求める方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画のうち,研究実績の概要で述べたように,1.~ 4.は昨年度からの継続でもあることから,ほぼ計画通りに実施し,データの蓄積も図れた。特に,4.については,研究成果をコンクリート工学年次論文集に論文を投稿できた。しかしながら,「5. 定着用膨張材(HEM)の耐久性および膨張圧の安定性に関する実験的検討」と「6.ASRにより鉄筋破断の可能性のある構造物の補強工法としての可能性の検討」については,実験装置の製作等の準備に時間を費やし,年度内に実験を実施することができなかったため,総合的に判断して区分を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は引き続き,1.~6.の研究計画を実施し,データの蓄積を図りたい。5.と6.については,優先的に実施する。6.ではどの程度のセットロスが見込まれるかがポイントであり,実用性を目指した検討を行う予定である。さらに,平成23年度から平成25年度の研究成果をもとに,実用に供するための定着具の設計マニュアルを作成する。研究成果は,コンクリート工学年次論文集に公表予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
継続的な実験が必要であり,予算は,ひずみゲージなどの消耗品に充てられる。また,研究発表のための国内旅費も計上している。
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Research Products
(4 results)