2011 Fiscal Year Research-status Report
底泥系ネットワークの解明に向けた底泥の化学組成を用いた底泥の空間的繋がりの推定
Project/Area Number |
23560615
|
Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
岡田 知也 国土技術政策総合研究所, 沿岸海洋・防災研究部, 室長 (80304749)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 底泥 / 底泥輸送 / 化学組成 / 結晶構造 / 蛍光X線 / X線回折装置 / 運河 / 東京湾 |
Research Abstract |
本研究は,土砂粒子の化学組成および結晶構造の情報を活用し,港湾域や複雑な運河網内における底泥の輸送・分布範囲およびネットワークを推定する手法を検討することを目的とする.本年度は,蛍光X線装置を用いて得られた化学組成結果の精度検証,および今後の多サンプルの結晶構造分析に向けた結晶相の検出に着目した. 京浜運河154地点の底泥を用いた既往の成果によって,波長分散型蛍光X線装置(Rigaku社製,Supermini)を用いた化学組成の結果から,63μmで分割されたシルト成分と砂成分に対して,それぞれの輸送・分布範囲の特徴を推定することが可能になった.しかし,砂成分に対しては,軽元素側の値にバラツキが大きいことが指摘されていた.その要因は,粒度効果であると推察されていた.そこで,粉砕機(Retsch社製,MM300)を用いて,砂成分を細粒化・均一化し,再分析を実施した.また,IPC-MSを用いた分析を代表サンプルに対して別途行い,検定線の精度を高めた. 初めての海域おける結晶構造解析では,その海域に特徴的な結晶相を的確に同定することが非常に重要である.この初期の同定によって,今後の解析の精度が決まるので,慎重なパラメータ検出が必要である.そこで,京浜運河における化学組成を用いた結果によって推定された底泥の由来毎の分布情報に基づいて,まずはシルト成分に対して,多摩川由来,東京湾(北側)由来,および東京湾(南側)由来と推定された底泥を代表サンプルとして選択し,それらに対して結晶構造解析をX線回折装置(Rigaku社製, MiniFlex II)を用いて実施した.その結果,河川由来(多摩川,鶴見川由来)と海域由来では,異なる結晶相が検出された.また,同じ河川由来でも,多摩川と鶴見川では,異なる結晶相が検出された.海域由来に対しては,川崎側と横浜側では,異なる結晶相は検出されなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由は次の3つ.震災対応のため当初計画どおりの分析実施時間がとれなかったため,節電のため分析装置を夏期に使用できなかったため,および結晶相の同定に予想以上に時間が掛っているため.
|
Strategy for Future Research Activity |
上記理由の3点目の結晶構造の同定に関しては,チャレンジングな課題であるので時間が掛ることは致し方ないが,分析専門家のサポートを得ること等によって,出来る限り効率的な成果達成を目指すことを検討している.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の理由で示したように,震災対応および節電のため,計画通りの分析ができなかった.そのため,今年度は,分析補助者用の謝金を計画どおり使用できなかった.そこで,次年度にその分を使用することによって,遅れている分析のスピードアップを図る予定である.
|
Research Products
(3 results)