2012 Fiscal Year Research-status Report
底泥系ネットワークの解明に向けた底泥の化学組成を用いた底泥の空間的繋がりの推定
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23560615
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
岡田 知也 国土技術政策総合研究所, 沿岸海洋・防災研究部, 室長 (80304749)
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Keywords | 底泥 / 底泥輸送 / 化学組成 / 結晶構造 / 蛍光X線 / X線回折装置 / 運河域 / 東京湾 |
Research Abstract |
本研究は,土砂の化学組成および結晶構造の情報を活用し,港湾域や複雑な運河網内における底泥の輸送・分布範囲およびネットワークを推定する手法を検討することを目的とする. 本年度は,東京湾の港湾域を重点的に採取した449地点のサンプルを用いた.各底泥に対して蛍光X線装置を用いて化学組成を分析した.化学組成に関しては,シルト成分(<63μm)と,砂成分(>63μm)に分画して分析した.砂成分に関しては,隅田川河口,荒川河口,江戸川河口,東京港および京浜運河(東京側)の平和島まで,同じグループだった.隅田川,荒川および江戸川の流域はほぼ同じ地域であるので,化学組成が同じグループであることは妥当であり,これらの範囲のシルト成分は,隅田川,荒川および江戸川由来のシルト成分の影響を強く受けていると推測された.また,隅田川,荒川および江戸川由来のシルト成分の影響があるが,その他の由来のシルト成分と混合し直接的に強い影響はない二次的な範囲も示された. 砂成分に関しては,多摩川周辺に対して,明瞭な分布が得られた.この多摩川からの砂は,北側には,シルト成分と同様に,海老取川を通じて,昭和島周辺に強い影響を与えていると考えられた.一方,南側には,多摩川からの砂は,多摩運河を通じて京浜運河(川崎側)の広範囲に強い影響を与えていると考えられた.多摩川周辺の生物生息場の砂供給には,海老取川および多摩運河のような比較的小さな水路が重要な役割を果たしていることが推測された. 昨年度に同定した結晶相を用いて,化学組成に基づくグループ化の検証を実施した.結晶構造解析はX線回折装置を用いて実施した.各グループの代表地点を分析した結果,同一グループ内でも異なる結晶相があることが示された.来年度は,化学組成結果と結晶構造の情報を合わせることによって,より適切な確度の高いグループ化手法を検討する計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析補助者および分析専門家のサポートよりおおむね順調に進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も,今年度と同様に,分析補助者および分析専門家のサポートを得て分析のスピードアップを図りたい.ただし,次年度の課題は労力だけではクリアーできないチャレンジングな課題であるので,多分野の研究者との情報交換を行うなどして,出来る限り効率的な成果達成を目指すことを検討している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も,今年度同様に,多量のサンプルを分析するために,分析補助者への人件費の割合を多く使用することを計画している. 1年目は震災の影響があり予定通りの分析が進まなかったため,2年目の今年度の論文投稿数は予定よりも少なく,英文校閲料等を計画どおり使用できなかった.今年度は比較的順調に分析ができ興味深い成果も得られたので,次年度は論文投稿を増やし,論文投稿料や英文校閲にも研究費を使用する計画である.
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Research Products
(7 results)