2013 Fiscal Year Annual Research Report
底泥系ネットワークの解明に向けた底泥の化学組成を用いた底泥の空間的繋がりの推定
Project/Area Number |
23560615
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
岡田 知也 国土技術政策総合研究所, 沿岸海洋・防災研究部, 室長 (80304749)
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Keywords | 底泥 / 底泥輸送 / 化学組成 / 蛍光X線 / 運河 / 東京湾 / 宮古湾 |
Research Abstract |
沿岸域の生物生息場の空間ネットワークの視点において,陸域から流入する土砂が沿岸域のどの範囲に分布・堆積するか等,底泥のネットワークは極めて重要かつ基本的な情報である.そこで本研究では,土砂粒子の化学組成等を活用し,沿岸域や複雑な運河網内における底泥の輸送・分布範囲およびネットワークを推定する手法を検討することを目的とした.調査対象は,沿岸域の開発が著しい東京湾および東日本大震災に伴う津波によって浅海域のアマモ場が消失した宮古湾とし,本手法を検討すると共に底泥ネットワークに関する情報を整理した. 東京湾では,約400地点の底泥を利用した.各地点の底泥をシルト成分と砂成分に分割し,化学組成を分析した.その結果,東京港および京浜運河の平和島までの範囲のシルト成分は,隅田川,荒川および江戸川由来のシルト成分の影響を強く受けていることや,多摩川からの砂は,海老取川を通じて,昭和島周辺に強い影響を与えていること等が推測された.このように,東京湾の主要河川からのシルト成分および砂成分の分布範囲および輸送経路が推測された.これらの主要河川からの底泥の分布範囲は,今後の東京湾の底泥の管理や環境を考慮する上で重要な基礎情報となる. 宮古湾では,約100地点の底泥を利用した.砂成分の化学組成の結果は,化学組成は西側と南側では似ているが,東側はそれらと異なることを示した.西側と南側の砂は,津軽石川河口と類似した化学組成だったことから,津軽石川由来であると推測された.一方,東側の砂の化学組成は,津軽石川河口の化学組成とは異なり,津軽石川以外の由来であると推測された.東側の底質は,アマモの生育には砂成分が少ない粗い性状であり,東側のアマモ場の復元には砂の供給が重要である.しかし,東側には主要河川からの多くの砂の供給は期待できず,アマモ場が回復するには比較的長い時間が必要であると推測された.
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Research Products
(10 results)