2012 Fiscal Year Research-status Report
宮崎県口蹄疫発生時に生じた道路交通・管理問題と危機管理上の課題の調査・解析
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23560627
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
出口 近士 宮崎大学, 工学部, 教授 (70117175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 哲信 宮崎大学, 工学部, 准教授 (70210672)
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Keywords | 口蹄疫 / 車両消毒 / 消毒ポイント |
Research Abstract |
口蹄疫発生位置と消毒ポイントの設置状況、口蹄疫発生地域の周辺道路や宮崎県都城市と鹿児島県境の道路交通量と交通容量の関係を分析し、消毒ポイント設置の問題点や設置の在り方について検討した。その結果、 ・道路における消毒方法として望ましい順位は、②消毒噴霧①消毒槽④噴霧式消毒⑤消毒マット③流下式消毒であった。ただし、消毒所要時間は短い順に③⑤①②④であり、両者の順位は相反関係にあることが確認できた。 ・宮崎県主催の家畜防疫演習(都城市、西都市)に参加するとともに、行政による消毒ポイント設置の防疫体制を調査した。その結果、都城市と西都市においては予め消毒設置箇所が検討・準備されていた。また、都城市は道路の2地点に①消毒槽を整備・常設している。また、鹿児島県では消毒ポイントが設置可能なスペースを県境の主要道路に8箇所整備する方針を策定している。なお、畜産関係運送業者へのヒアリングから、畜産飼料は鹿児島県志布志港、鹿児島市谷山、熊本県八代市、宮崎県日向市細島)から配送されていることが明らかになり、県境を越えた広域にわたる交通への対策の必要性が把握された。 ・家畜防疫演習では口蹄疫防疫マニュアルに沿って消毒ポイントを設置していたが、ポイント箇所や数が限定されるケースもあるので、今後は設置候補の消毒ポイントの設置効果についてより詳細な検討が必要であると考えられる。 ・口蹄疫が発生した川南町、都城市、えびの市で発生地点を中心とした半径5㎞の円周と交差する道路、都城市と鹿児島県境の道路で、実用交通容量と平成22年交通センサス交通量を比較した。その結果、川南町内の国道10号の2区間で混雑度(1.25~1.75)が、都城市と鹿児島県境の3区間(国道269号、一般県道108号、109号)で混雑度(1.00~1.25)が確認され、これらの道路区間に消毒ポイントを設置する際は渋滞に十分配慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度・24年度の調査・解析から、 ・口蹄疫防疫マニュアルは、口蹄疫が発生した場合に①発生農場入口:発生農場通行遮断付近(2箇所)、②発生農場周辺付近:概ね1km付近の通行車両の多い道路、③移動制限区域ライン:10km付近の通行車両の多い道路、④搬出制限区域ライン:20km付近の通行車両の多い道路への消毒ポイントの設置を求めており、宮崎県はこのマニュアルにしたがって、防疫演習を通じて防疫体制の強化を図っていることを確認できた。 ・宮崎県の事例では、道路消毒ポイントで5種の方法の車両消毒が実施されたが、望ましい消毒方法と消毒所要時間には相反関係があり、渋滞発生の可能性と、消毒ポイント設置スペースの確保の可能性を考慮して適正な設置地点と消毒方法を組み合わせる必要性を確認できた。 ・平成22年交通センサス交通量と実用交通容量の比較から、口蹄疫が発生した川南町の国道10号の一部区間では混雑度が高いことが確認できた。平成22年の口蹄疫発生時に実際に消毒ポイントが設置された10号で最大3kmの渋滞が記録されており、周辺道路を封鎖あるは通行規制した場合に生じる交通状態について、交通センサス交通量を利用して事前に予測・分析できる可能性が得られた。 ・交通分析の上では、口蹄疫発生地点周辺の主要道路以外の道路においては、道路封鎖あるいは通行規制しても交通渋滞を生じさせずに車両消毒を実施できる可能性を得たが、実際の道路での封鎖体制の実現性の検討などが課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
・ケーススタディとして、宮崎県内の2~3地点において口蹄疫の発生を想定する。そして、平成23年度・24年度の解析方法・成果を基本にしてその周辺道路における道路混雑状態を推定して、道路における車両消毒の可能性と危機管理上の課題を解析する。 ・危機管理に対応するための道路構造や道路ネットワークの課題を整理し、発生地点に早期封鎖(危機対応)のための道路管理および道路交通規制・管制方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・GIS技術および交通解析補助および技術供与(謝金) ・調査および研究成果発表のための旅費 ・解析ソフトウェアおよびコンピュータ関連物品の購入
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Research Products
(1 results)