2011 Fiscal Year Research-status Report
社会的合意形成のための要件を組み入れたLRT導入の適合性評価手法の構築
Project/Area Number |
23560635
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
吉川 耕司 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (80220599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 直幸 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (20247878)
伊藤 雅 広島工業大学, 工学部, 准教授 (70273464)
波床 正敏 大阪産業大学, 工学部, 教授 (60278570)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 交通計画 / LRT / 住民合意形成 |
Research Abstract |
研究代表者および研究分担者の、これまでのLRTに関する研究活動の知見を整理するとともに、必要なデータを収集・分析することによりLRT事業の成立要件を抽出することを本年度の課題とした。(1)これまでの経験・知見の整理と着想の検証:これまで蓄積した詳細データを元に、LRT事業の持つ特殊性の存在と、事業成立のメカニズムを検証した。堺市のLRT計画に関する調査研究成果については吉川・塚本が、他の日本の都市については波床が情報集約を行った。(2)欧州における経験・知見の整理と補足調査:これまで蓄積した欧州諸国の詳細データを元に、伊藤が(1)と同様の集約・検証作業を行うとともに、情報が不足している南欧諸国について、吉川・塚本・伊藤が、現地の詳細データ収集のための調査を行った。(3)LRT構想を持つ都市の情報収集と分析:LRT事業を計画・構想中の国内約70都市について、担当者への問合せやHP調査を行うとともに、地理的データや社会統計データを入手し、定量・定性の両面から情報収集を行った。これについては、都市特性について吉川が、整備効果について波床が、導入空間について塚本が、事業運営について伊藤が、それぞれ担当した。また、行政組織の状況や市民意識、既存交通事業者の経営状況といった、各都市の「主体的条件」を加味した検討を行うため、行政組織については首長の姿勢、交通計画・都市計画部署の配置状況、関連予算等を調査し、市民団体については、市民の機運や具体の計画状況について調査した。全都市へのアンケートを実施したが、主要な都市については、訪問調査や現地ヒアリング等の詳細な実態調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LRTを中心とした路面公共交通整備を対象として、都市要因を中心とした定量的条件だけでなく、社会的合意形成や事業の進め方に関する計画プロセスをも評価要因とした、事業の成立可能性を判定するための総合的評価手法を構築することが、本研究の目的である。 研究目的を達成するための具体的な研究課題として、(1)既存LRT構想・計画の検証、(2)LRT事業成立要件の抽出、(3)LRT事業の計画プロセスの分析、(4)LRTの成立可能性に関する総合的評価手法の構築、(5)各都市の適合性評価、の5つを設定したが、このうち平成23年度の実施を計画した(1)~(3)について、ほぼ順調に計画を達成している。ただし、国内都市の訪問調査については、さらに多数の都市の調査を予定していたが、鹿児島市、広島市、札幌市、松山市(一部は他の関連研究費を利用)の4都市にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べた通り、研究は順調に遂行されているため、研究計画全般についての大きな変更点はない。平成24年度は、LRT構想を持つ都市の情報収集と分析をさらに進め、事業成立要件に関する定量化手法を実際に構築していくとともに、事業の計画プロセスにかかわる主体的条件について分析を進める予定である。これをもとに、最終年度である平成25年度に、LRTの成立可能性に関する総合的評価手法を構築していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LRT構想を持つ都市の情報収集を進めるため、国内旅費を25万円計上しており、平成23年度に訪問できなかった諸都市の調査を行う。また情報が不足している欧州都市について、吉川・塚本が補足調査を行うための外国旅費を50万円計上している。 一方、収集した情報の分析を行うために、研究補助謝金を20万円、統計分析謝金を10万円、アンケート調査に関する委託費を25万円計上している。 なお、物品費は研究に必要な文具・パソコンの消耗品にとどまり、計10万円の計上である。
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Research Products
(3 results)