2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560728
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
竹内 泰 宮城大学, 事業構想学部, 准教授 (30553862)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 聖祠 / 地蔵 / 京都 / 祭礼 / 歴史都市 |
Research Abstract |
本研究は、歴史都市に見られる「聖祠」という現象から、都市空間の特質を明らかにしていこうとする研究である。具体的には、京都(上京・中京・下京)における地蔵を対象として、それらの平常時での分布や配置、祭礼時における祭礼方法や祭礼場所の変化を臨地調査にて明らかにし、それらの特徴や変化についてとらえ、分析していこうとするものである。本助成事業に先立ち2010年に京都の旧市街地(いわゆる田の字地区)での研究分析を行ったが、今年度(2011年度)は上京エリア(西陣付近)での同様の研究分析を行い、地区の歴史的形成過程の違いから、地蔵の分布や配置、祭られ方にも違いがあることが明らかになり、今後の研究分析の道筋となる成果を上げた。具体的には、祇園祭などの都市祭礼を持っている田の字地区では、平常時に道路などの公共空間に面して配置されるのではなく、決まった寺院や町内持ち回りで非公開で祀られるケースが多いのに対し、上京エリアでは常時公共空間に面し祠などに安置され公開され祀られるケースが多いという違いが明らかになった。また、祭礼時には、上京エリアではそれらの公開されている祠から地蔵本体を移動させ、持ち回りで決まった家あるいはそれらの持つ私用空間を一時的に公開することで祭礼されることが特徴となっていることが明らかになり、道路などの公的空間を占有することが少ないことが分かった。今後、同様の分析を対象地域全体で整理・分析し、さらに、古地図(町割図)などの歴史的な分析も加えることで、地蔵の分布・配置から京都の都市空間の特徴を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、京都における必要な臨地調査においてほぼ8割程度が完了しつつある。今後これらの必要な臨地調査を行っていく予定である。一方、これらの積み重ねた調査データおよび町割図データの整理が今年度の大きな課題であり、本研究者一人では対応しきれない膨大な量となっている。そのため、研究室内を中心にデータ整理の協力を仰ぐことで研究の推進に努めたい。また、アジア圏での都市研究に発展させるための準備研究や調査も今年度の課題と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今期の夏期臨地調査を引き続き行うとともに、現地での古地図などの資料収集にも努めるものとする。これまで積み上げたデータ整理が大きな課題であるため、それらへの協力要請や体制、環境整備なども進めるものとし、データの全体像が俯瞰できる状況へと進展させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
夏期の臨地調査に加え、資料収集や専門家へのヒアリングなどにおける旅費を手当てする。また、データ整理のための環境整備への物品費、それらデータ入力協力者への謝金、専門家の調査協力や専門的アドバイスへの謝金を配分するものとする。
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Research Products
(1 results)