2012 Fiscal Year Research-status Report
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23560728
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
竹内 泰 宮城大学, 事業構想学部, 准教授 (30553862)
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Keywords | 聖祠 / 地蔵 / 京都 / 祭礼 / 歴史都市 |
Research Abstract |
本研究は、歴史都市にみられる「聖祠」という現象から、都市空間の特質を明らかにしていこうとする研究である。対象調査地を京都としている。 当該年度では、夏期における現地臨地調査を行い、春・冬期に現地において資料収集調査を行った。 夏期の調査は、2011年度の調査において残っていた未調査範囲の調査を終え、それまでの調査結果と合わせ、図化やデータ化を進めてきた。 主な分析内容としては、本研究者が1993年においてすでに行った聖祠の配置調査と、本研究で行ってきた調査(2009年以降)結果との比較を行った。調査サンプル数が+59個となっており(276(1993)→335(2009))調査精度は高くなっており、それらの結果をベースに約20年間の京都における聖祠の配置変化状況を具体的に示した。建物の建て替えなどにより配置を変化させるもの(移動)が約4%あったのに対し、消失しているものが約14%あった。 聖祠は京都における共同体単位である町により管理されるものがほとんどである。日常的な管理だけでなく年次的な祭祀が執り行われ、町という共同体単位の組織維持機能を有している。また、町という組織への帰属意識を維持させる側面もある。特に地蔵が子供の守り神として信仰されてきた側面もある。これらから、この減少傾向には町の共同性の変化と少子高齢化の影響を明らかにとらえることができる。祭礼などによる町組織に対する帰属意識確認の機会も失うことになっている。建物の立て替えなど都市空間の変化とともに、都市構造を一層加速させる状況であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
京都の旧市街(上京・中京・下京)を対象としており、聖祠の平常時の配置調査及び年次的な祭礼時の調査を行ってきた。 そのサンプルは1000以上を超え、それらを分析するための図化作業が滞っているのが現状である。これらの解消方法としては、ある程度集中的継続的に作業できる人員確保が急務と考えている。 また、年次的祭礼の調査は1年に2日間のみ行われるものであるため、広範な地域を短い期間に調査しきることが困難であることもやや遅れている原因といえる。ただし、この件に関しては、今年度予定する夏期調査で解消予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにあるこれまで行ってきた調査結果の分析作業が急務と考える。具体的に図化する作業人員の確保と作業の着実な推進を行うものとする。また、古地図など、すでに取得できている資料の整理と図化も行いたいと考えている。これらの作業の進行と合わせ、分析作業も並行して行う。文献調査の整理も集中的に行い、京都における地蔵信仰の背景を宗教学、民俗学、歴史学、社会学などからまとめる。 本研究の射程として、海外の歴史都市における聖祠の分布に関する調査も含む。今期は本研究の最終年度でもあり、海外都市における研究展開を狙った予備調査を夏期(あるいは冬期)に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査データの処理及びそれらの図化が急務であるため、それらへの謝金を集中的に配分する。 また、調査の取り残しがないよう夏期だけでなく臨機応変に京都における臨地調査を行いたい。また、研究の展開を図るための海外調査(ネパール・インド)を行う。これらに旅費を充てる。これらの調査に伴う必要備品の購入を多少行う。 文献に関しては、国内研究の資料に加え、海外調査前後の資料確保を行う。
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Research Products
(2 results)