2013 Fiscal Year Research-status Report
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23560728
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
竹内 泰 宮城大学, 事業構想学部, 准教授 (30553862)
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Keywords | 聖祠 / 地蔵 / 京都 / 都市空間 / 祭礼 |
Research Abstract |
本研究は、歴史都市にみられる小さな宗教施設を「聖祠」としてとらえ、その都市的な分布や配置を調査分析することから、都市空間の空間的特質を明らかにする研究である。このような生活習慣から見られる宗教現象は、その都市居住の成熟の過程から形成されてきたものであり、聖祠が共同で管理されるメカニズムには、都市居住を支える重要な知見が豊富に含まれており、都市居住を豊かにする要素であるといえる。さらに、聖祠がもたらす空間概念が、都市居住そのものを逆規定している側面もあり、共同で祀られる小さな宗教空間が集積することにより、都市全体の形態を維持継承する要因になっているというのが本論の持つ視点であり、このような視点の研究はほかにはない。また、日本だけでなく聖祠がみられるどのような都市であれ、同様な研究展開を可能とする基盤研究である点において最大の特徴を持つ。 本研究では特に日本の歴史都市である京都を対象とし、そこで最も多くみられる地蔵に焦点をあて継続的な調査を行ってきた。平成23年から平成25年までで、京都の旧市街における全体的な調査を終了させている。平成23年の東日本大震災発生により、地域の復旧復興活動を並行し進めざるを得ない状況にあるため、平成26年度まで研究期間を延期するに至った。平成26年度はこれまでの調査分析をまとめ研究基盤を固めるとともに、本研究を発展的に進めるため、海外都市調査(ネパール(あるいはインドネシア)を想定)を夏期に実施する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的では、①地蔵の平常時の分布と配置に関する臨地調査、②地蔵の祭礼時に分布と配置及び祭礼状況についての臨地調査、③町割図を中心とした古地図および文献調査、④本研究のまとめとしており、①と②の調査、及び③の資料収集に関しては完了済みである。今年度においては、必要な図版化やその分析が作業の中心となる。平成23年度の東日本大震災により発生した復旧復興活動に費やしてきた時間を、今年度は本研究に集中的に配分し研究のまとめを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに調査が済みかつ図版化も済んでデータ群を読み込み分析する。また、古地図などのつなぎ合わせを行い、調査済みデータと対照させ分析を深める。これまでの研究全体を文字化してまとめる。 さらに、研究を発展的に進めるための海外都市調査を夏期に行う。そのための事前の文献調査も行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
もっとも大きな理由として、2013年度に予定していた海外調査が行えなかったことによる。予定通り調査が遂行できなかった理由としては、2011年度の東日本大震災に対する支援活動を行ってきたことにある。 使用計画としては、①夏期に執り行う海外調査旅費と、②調査結果を分析するための資料作成に要する謝金を想定している。
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Research Products
(2 results)