2011 Fiscal Year Research-status Report
学校運営からみた小学校におけるオープン型教室の成果と課題に関する研究
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23560745
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
山口 勝己 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (30200611)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小学校施設 / オープンスペース / オープン型教室 / 施設評価 / 学校運営 |
Research Abstract |
1.小学校オープンスペースの事例に関する文献調査 建築雑誌や教育施設関係の雑誌に掲載されたオープン型教室をもつ小学校の事例を収集し、オープン型教室の特性や設計者・計画者の意図、利用状況について整理・分析を進めている。23年度は建築系の資料を中心に収集・整理を行った。2.オープン型教室の整備について特色のある市区町村に対する訪問調査 全国の自治体における小学校施設の整備方針を収集することにより、オープン型教室を整備するという方針を定めて整備を進めてきた市区町村のうち、近年その方針を見直し、完全オープンな教室を作ることをやめた自治体や教室とオープンスペース間を固定壁にする方針に転換した自治体が存在することが判明した。さらに、オープン型教室の整備方針を見直した2つの自治体の教育委員会学校建設担当者に対してヒアリング調査を行い、見直しに至る要因や見直しの効果を把握することにより、オープン型教室の課題を明らかにすることができた。3.オープン型教室をもつ公立小学校における教員に対するアンケート調査 オープン型教室をもつ小学校を近年整備した富山県I市の3小学校を対象とし、実際に授業を行っている学級担任などの教職員に対して、オープン型教室の利用状況、オープン型教室で授業を行うことによる成果、利点や問題点などについてアンケート調査を実施した。全体として音の問題が深刻であること、教室とオープンスペース間の境界のつくりや教室配置によってオープン型教室の評価に差異があること、教師は必要な時に完全に締め切ることのできる境界を求めていることを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オープン型教室をもつ小学校の教員に対するアンケート調査ができることになり、その準備・実施・集計に時間を費やした。また、自治体の教育委員会訪問調査も進めることができたが、検討時間の不足により初年度に予定していた全国のオープン型教室の保有校実態調査を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度に、研究代表者が加わっている別研究において、全国自治体に対する学校施設の課題に関する調査を実施した。そこで得られたデータを有効活用することにより、オープン型教室をもつ小学校を整備している自治体の把握を進め、現地訪問調査の時期を早めることによって、研究の進度を早めることを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.全国におけるオープン型小学校の整備実態の調査 今年度に実施できなかった全国自治体におけるオープン型小学校整備のアンケート調査を実施するために次年度に繰り越した研究費を使用する。全国においてオープン型教室導入が進んでいる十数の自治体を選定し、教育委員会の学校施設担当部局を対象に資料収集調査およびアンケート調査を行う。収集する資料の内容は、オープン型教室を有する小学校の施設資料及び小学校施設の整備を進めるにあたり策定した整備指針・改築指針等である。2.オープン型教室をもつ小学校に対する訪問調査 近年整備されたオープン型教室をもつ小学校、及びオープンスペースの活用に実績のあった小学校を選定し、訪問調査(観察調査、聞き取り調査)を行う。教員アンケートより音の問題が重大であることが明らかになったため、騒音計を購入し、訪問調査時に騒音レベルの測定も行う計画である。
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