2012 Fiscal Year Research-status Report
ゴシック建築成立期におけるイール・ド・フランス地方支柱形態の革新性の立証
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23560779
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
佐藤 達生 大同大学, 工学部, 教授 (40131148)
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Keywords | ゴシック建築 / イール・ド・フランス / ロンバルディア / 線条性 / 支柱 |
Research Abstract |
2012年8月14日から同年8月24日までの11日間(実働8日間)、フランスのパリおよびパリ周辺に分布する変遷期および初期ゴシックの教会堂(12世紀から13世紀初期;計10棟について、現地調査を実施した。調査では、教会堂内部の大アーケード支柱の形状を、目視によって観察記録するとともに、測定器具を用いて実測をおこない(各教会堂につき2~8本程度)、さらに写真撮影をおこなった。またパリ大学ダニー・サンドロン教授と共に、パリ大聖堂ギャラリーより上層部の踏査・目視観察を行い、建築細部について意見交換をおこなった。上記11棟の教会堂の大アーケード支柱について、実測数値データと目視によるスケッチ、ならびに詳細な画像を得ることができた。 2012年9月13日から同年9月25日までの13日間(実働10日間)、イタリアのミラノおよびミラノ周辺(ロンバルディア地方)に分布する11世紀末から12世紀初期のロマネスク教会堂(計13棟)について、現地調査を実施した。調査では、教会堂内部の大アーケード支柱の形状を、目視によって観察記録するとともに、測定器具を用いて実測をおこない(各教会堂につき2~8本程度)、さらに写真撮影をおこなった。またパルマ大学カルロ・ブラージ教授、エヴァ・コイッソン助手と共に、パルマ大聖堂表層部の目視観察を行い、建築細部について意見交換をおこなった。上記13棟の教会堂の大アーケード支柱について、実測数値データと目視によるスケッチ、ならびに詳細な画像を得ることができた。また対象教会堂に関する若干の文献収集をおこなった。 この現地調査による成果を『日本建築学会計画系論文集』に投稿したところ採用となり、2013年7月号(No.689)に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画ではイタリア・ロンバルディア地方の13遺構を調査する予定であったが、すべての遺構の調査を完了し、必要なデータを取得することができた。またパルマ大学のブラージ教授とも、ロンバルディア建築の構造に関して研究打ち合わせを行うことができた。これらの成果を論文としてまとめ、『日本建築学会計画系論文集』に投稿したところ、2013年7月号(No.689)に掲載が決定した。 さらに当初研究計画にはなかったが、ゴシック建築分野の専門家であるパリ大学サンドロン教授と面談し、研究上の意見交換を行うとともにパリ大聖堂の主としてトリビューンのレベルを調査することができた。またこの機会を利用して、従来調査してきた教会堂4棟の補足調査ならびに6棟の新規調査を実施し、データをより完全なものとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アングロ・ノルマン時代(イギリス)の教会堂3棟(Durham大聖堂、Lindisfarne小修道院、Wymondham大修道院聖堂)について現地実測調査をおこなう。さらにこの機会に、ロンドンのコートールド美術研究所のP・クロスリー教授に面会し、研究の内容について議論をしたうえで、論文執筆上のアドヴァイスを受ける。ついでフランスに渡航し、PoissyおよびPontoiseの教会堂を補足調査するとともに、サン・ドニにて発掘に関する文献・資料を収集する。国内では、これまで実測したデータをもとに支柱の詳細形状を図化する。本研究計画の成果の一部をまとめて『日本建築学会計画系論文集』に投稿するとともに、研究成果全体を一つの英文論文としてまとめ、英国または合衆国の専門誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はイギリス北部の教会堂3棟について10日間程度の現地調査およびフランス2棟について4日間程度の調査を実施する。この調査期間にロンドンではクロスリー教授に面会し、フランスではサン・ドニでの文献調査を実施する。したがって名古屋―ロンドン―パリ―名古屋間の航空運賃ならびに2週間程度の滞在費に計80万円程度を使用する。残りの30万円程度を成果のとりまとめ(英文校正・印刷・謝金など)に使用する。
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Research Products
(4 results)