2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゴシック建築成立期におけるイール・ド・フランス地方支柱形態の革新性の立証
Project/Area Number |
23560779
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
佐藤 達生 大同大学, 工学部, 教授 (40131148)
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Keywords | ゴシック建築 / イール・ド・フランス / アングロ・ノルマン / 線条性 / 支柱プロファイル / 実測 |
Research Abstract |
本年度は、イール・ド・フランス(フランス)とアングロ・ノルマン(イギリス)のそれぞれ6教会堂について、大アーケード支柱プロファイルの実測調査(各教会堂につき2~6本程度)を実施した。前年度までに調査を実施した教会堂に本年度の実績を加えると、調査実績は以下のようになる。イール・ド・フランス16棟、ノルマンディー(フランス)10棟、アングロ・ノルマン(イギリス)14棟、ロンバルディア(イタリア)13棟。これらの調査により得られた計測数値データと目視観察によるスケッチ記録、ならびに詳細な写真画像から、各教会堂の支柱プロファイルの図化をおこなった。 さらに平成20年度~22年度科学研究費(基盤C)による調査および図化の完了しているイール・ド・フランスの教会堂58棟分を加えて、各地域の支柱プロファイルを比較した結果、次の事柄が明らかとなった。①イール・ド・フランスの複合柱を構成する入隅シャフトは、入隅に没入せず、入隅を形成する直交2面に接する。②アングロ・ノルマンとノルマンディーの複合柱は、入隅シャフトが入隅の片側の面にほぼ2分の1没入する点で共通である。③ロンバルディアの複合柱では、入隅シャフトが入隅の直交2面に同量ずつシャフト半径の3分の1程度没入する。以上のことから、イール・ド・フランスの複合柱の入隅シャフトは、他の3地域の複合柱の入隅シャフトよりも、支柱の核部分からの独立性が高いと結論できる。このことは、イール・ド・フランスのシャフトの線条性の強さを証明するもので、この地域においてゴシック建築が生成された理由を説明する有力な根拠となる。 さらに本年度は、ロンドンのコートールド美術研究所の名誉教授Paul Crossley氏に面会、報告者のこれまでの研究成果の概要を説明し、イギリスの考古学雑誌への論文投稿の方策等について、指導を受けた。
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Research Products
(2 results)