2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560830
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
原 正憲 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 准教授 (00334714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布村 紀男 富山大学, 総合情報基盤センター, 准教授 (10372476)
赤丸 悟士 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助教 (10420324)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / 熱力学特性 / 磁化率 / 電子状態計算 / 設計指針 |
Research Abstract |
水素ハンドリング材(金属製水素透過膜,水素吸蔵合金)の熱力学特性(水素平衡圧力,水素化物生成エンタルピー,水素吸蔵量)を従来の圧力-組成等温線の測定によらず,他の物性値の測定および電子状態計算より評価する手法のを検討することを目的に研究を行っている.長い測定時間が必要な圧力-組成等温線に依存しない水素ハンドリング材の熱力学特性を評価できる手法が確立すれば,ハンドリング材の開発が飛躍的に効率化される.このため,本研究では特にPd系の水素吸蔵合金に着目し,Pd合金の水素吸蔵に伴う磁化率の測定及びバンド計算を中心に行い評価手法の確立を目指す.あわせて高価なPdを含まないZr系水素吸蔵合金等への展開を図っている. 平成24年度に行った研究の主な成果は以下の通りである. (1) Pd-Au,Cu,Rh等のPdの周辺元素とのPd合金及びその水素化物のバンド計算を行った.その結果,Pd-Cu,-Ag,-Auにおいては,バンド計算によりフェルミレベルでの全状態密度を計算し,実測の磁化率の結果と比較することにより水素吸蔵量を評価できることが理解された.しかし,Pd-Ni,-Rh等の合金ではPd-Ag等で得られた評価法に改良を加える必要があることが認識された. (2) Pd系の水素吸蔵合金への水素溶解領域と水素化物生成領域の磁化率の変化を自作した交流磁力計により明瞭に観察することが出来た.これにより,水素溶解領域での電子状態の変化の傾向を得ることが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究より,フェルミレベルでの状態密度よりPd-Cu,-Ag,-Au合金においてはバンド計算により水素吸蔵量を評価できることが示された.この評価法により金属水素化物を生成できる最大のCu,Ag,Auの添加量を見積もることができた.また,Pd-Cu等で利用できた手法は,Pd-Ni等に適用する際には改良する必要があることが示され,今後のさらなる研究方針を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
Pd系水素吸蔵合金について Pd-Cu,-Ag,-Au合金で水素吸蔵量を計算により見積もれることが示されたが,Pd-Ni等では評価手法に改良を加える必要が示された.多くのPd系水素吸蔵合金に適用できる評価手法を得るため,Pdの部分状態密度に着目し改良を試みる.これと並行して,水素吸蔵合金を実用化する際の重要な要素である吸蔵・放出圧力で見られるヒステリシスの評価を試みる. 他の水素吸蔵合金について ZrMn2,FeTi系の水素吸蔵合金の熱力学データを収集するとともに,水素化に伴う磁化率変化の測定を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Pd-Cu,-Ag,-Auにおいては,フェルミレベルでの全状態密度変化より水素吸蔵量を電子状態計算により評価できることが示された.しかし,Niをはじめとする他の添加元素では,全状態密度の変化では評価できなかったため,Pdの部分状態密度により評価する方法を検討する.あわせて,水素吸蔵合金を実用化する際の重要な要素である,水素吸蔵圧力と放出圧力の差である吸蔵・放出のヒステリシスを,合金の水素化に伴う弾性率の変化より評価を試みる.即ち,格子定数を変化させた際の全電子エネルギー変化より弾性率を求め,その弾性率と吸蔵・放出のヒステリシスの関係を検討する. 電子状態計算より,水素吸蔵量とヒステリシスを評価する手法の確率を達成する.
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Research Products
(6 results)