2012 Fiscal Year Research-status Report
新規テラヘルツ高分解能測定によるリン酸亜鉛微細構造の検出
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23560859
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田邉 匡生 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10333840)
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Keywords | テラヘルツ / 化成処理皮膜 / リン酸亜鉛 / 水和構造 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
実用材料表面について化成処理皮膜の状態及びその分布を解析する手法が求められている。テラヘルツ波は室温程度の弱いエネルギーを有するため、物質の形態に関係する結晶性についての評価が可能であると期待されているが、テラヘルツ物性は最近ようやくデータベースとしてのスペクトルが測定されはじめたにすぎず、ほとんど解明されていない。そこで本研究ではリン酸亜鉛を対象とし、高分解能テラヘルツ分析装置を用いて、結晶サイズや水和構造が異なる状態のテラヘルツスペクトルを測定する。結晶形態のマクロな違いや水和物形成におけるテラヘルツスペクトルの変化からリン酸亜鉛の微細構造を検出し、鋼板表面におけるその状態・分布を電気化学測定と合わせて議論することを目的としている。 4つの水和水を含む4水塩を加熱することにより、100度で2水和水、190度で3水和水、約250度で4水和水を失い無水塩となることが知られており、平成24年度は4水塩の状態から真空中で加熱し無水塩へと変化するときのそれぞれの状態におけるテラヘルツスペクトルを室温にて測定した。さらにテラヘルツスペクトルの理解を進めるために、比較的安定に水和物を調製できる硫酸カリウムアルミニウムについても測定した。テラヘルツスペクトル測定と同時に、各種顕微鏡により結晶形態を観察するほか、X線回折パターンの測定やラマン分光測定を行い、分子軌道計算によるテラヘルツスペクトルの解析とあわせて同一の試料に対する系統的な理解を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はリン酸亜鉛を対象として、顕微鏡観察をはじめX線回折測定や赤外・ラマン分光など従来からの各種分析とともに次に挙げる実験を行い、テラヘルツスペクトルについて結晶形態や水和構造との関係を明らかにし、化成処理皮膜に必要とされる結晶の緻密さと均一性について議論するものである。 (1) 異なる製法・条件によるリン酸亜鉛粉末試料の作製とテラヘルツスペクトル測定 (2) 加熱乾燥セルの導入と水和水脱離プロセスにおけるテラヘルツスペクトルの測定 (3) 鋼板表面におけるリン酸亜鉛被膜のテラヘルツ分光イメージング測定と電気化学測定 平成24年度までに(1)ならびに(2)についてはほぼ終了し、(3)については既存の計測器も含め、電気化学測定が可能なシステムを構築している。平成25年度はテラヘルツスペクトルの理解を深め、リン酸亜鉛の結晶形態や水和物形成の状態・分布と電気化学特性の相関が議論できる状況であり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度であり、昨年度に構築したシステムを用いて電気化学測定をリン酸亜鉛をめっきした鋼板に対して行う。リン酸亜鉛の結晶形態や水和物形成の状態や分布について、テラヘルツスペクトル・イメージング像をはじめ、電気化学特性ならびに各種分析結果を合わせて議論する。リン酸亜鉛のほか、硫酸カリウムアルミニウムも合わせて行っている分子軌道計算の精度を高め、水和構造を基盤として明らかになるテラヘルツスペクトルの解釈をもとに、鋼板の耐食特性についてテラヘルツによる非接触分析測定技術を展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レーザ装置におけるランプなどの消耗品、損傷を受けやすいミラーや波長板などの光学部品を購入し、テラヘルツスペクトルならびにイメージング測定が可能な研究環境を引き続き整備していく。さらに、試料調製のための真空部品を購入するほか、電気化学測定に関する消耗品も購入する。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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