2011 Fiscal Year Research-status Report
集合組織の形成による異方的臨界電流特性を示す硼化マグネシウム超伝導線材の創製
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23560885
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
黒田 恒生 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, フレッシュキャリア (70354305)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | MgB2超伝導テープ材 / Ex situ法パウダー・イン・チューブ法 / 臨界電流 / 異方的磁界依存性 / 集合組織 |
Research Abstract |
39 Kの高い臨界温度を示すMgB2超伝導体は、結晶粒間の弱結合性が無い等、超伝導機器への応用に有用な特性を持ち、マグネット用線材として実用化が期待されている。しかし従来報告されているMgB2線材の臨界電流は、未だ実用には不十分なレベルにある。本研究は、MgB2超伝導体の上部臨界磁界の異方性が、臨界電流の制限因子であることに着目し、ex situパウダー・イン・チューブ法によって作製したテープ線材の臨界電流の異方的な磁界依存性を増大させることにより、高磁界における臨界電流特性の改善を図ることを目的とする。そのため、より硬いシース材を使用すること、また、芯に充填する粉末として磁場中電気泳動法等によって作製した集合組織を持つ粉末を使用する。さらに、線材の集合組織と臨界電流の相関を評価し、マグネット用線材としての使用に資するデータを収集することを行なう。 平成23年度では、ex situパウダー・イン・チューブ法と、比較のためにin situパウダー・イン・チューブ法によるテープ材を作製した。ここではシース材として従来使用されている純鉄を用い、また、ex situ法の原料粉末としては市販の原料粉末を使用し、in situ法の原料粉末にはSiCは添加しなかった。これらの異なる作製法によるテープ材の4.2 Kにおける臨界電流について、テープ材の表面と磁界の印加方向が平行な場合と垂直な場合の磁界依存性を調べた。Ex situ法線材では、テープ面と磁界が垂直な場合の臨界電流は、平行な場合に比べて、高磁界においてより急速に減少した。平行な場合の臨界電流値の垂直な場合の値の比は、5, 6, 7 Tにおいてそれぞれ3, 7, 14であった。一方、in situ法線材では、テープ面と磁界が垂直な場合と平行な場合との間において臨界電流の磁界依存性に、ほとんど差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では、ex situパウダー・イン・チューブ法によるテープ材の作製において、シース材として純鉄よりも機械的強度の高い炭素鋼S25C及びS45Cを用いる研究も行なった。しかし、炭素鋼S25C及びS45Cを用いた線材では、圧延加工の途中の段階でシース材に割れが生じ、最終のテープ状にまで加工成形をすることができなかった。そこで、加工の途中において中間焼鈍を施してテープ状試料を作製した。しかし、この試料の臨界電流の異方性は、純鉄を用いたテープ材とほぼ同程度であった。これは、中間焼鈍を施すことによって炭素鋼のシース材が軟らかくなり過ぎ、芯部の粉末に、純鉄の場合よりも強い圧縮力を負荷できなかったためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、前年度の結果を検討し、23年度に引き続き炭素鋼をシース材として使用するex situパウダー・イン・チューブ法によるテープ材を作製して、臨界電流の異方性を高められるか否かを検討する。さらに平成24年度では、シース材に充填するMgB2原料粉末に関し、磁場中電気泳動法等のコロイドプロセスを利用して、原料粉末の段階で集合組織を持つ粉末を作製し、この粉末が、臨界電流の異方性を高める効果を持つか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初期の計画に従って予算を使用していく予定である。
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