2011 Fiscal Year Research-status Report
帯電エアロゾルを用いた高結晶性微粒子の多次元集積と評価
Project/Area Number |
23560904
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
LENGGORO WULED 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10304403)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エアロゾル / ナノ粒子 / 微粒子 / 集積 / 帯電 / 高感度センサ / 付着 / 輸送・沈着 |
Research Abstract |
本研究は、気相法による高結晶ナノ粒子合成技術と高い選択性をもつ粒子集積化技術を用いて、「複合型ナノ材料プロセッシング」を開発し、高性能な粒子状素子を創製することを目的とする。(1)ナノ粒子の合成と液中分散:出発粒子として高結晶ナノ粒子を合成した。原料粒子を主に水中に分散させるが、その分散方法も検討した。(2)懸濁液の気中分散と粒子構造体の形成:エアロゾル化装置を設計・製作した。ある程度分散性が保持できる粒子分散液を発生器により気中に分散させて、懸濁液のエアロゾルを形成する。これまで開発した静電型技術を用いて、供給流量や液体の物性または印加電圧を変化させることで、エアロゾル液滴の表面の帯電量を変化させることによって、液滴に大きな帯電量を待たせ、液滴が破裂する。ナノ粒子が孤立した一次粒子状態または複数のナノ粒子の集合体の状態の形成が制御できた。(3)帯電粒子の輸送を予測する数値シミュレーション:気中に浮遊するミクロン液滴と粒子の輸送、空間の電界分布を数値計算により解析した。さらに、粒子の集合状態と帯電量および輸送速度との関係を予測し、任意の空間におけるナノ粒子の個数濃度の変化を求めた。少なくとも異なる二種類の粒子集合体に関してシミュレーションを行った。シミュレーションの結果に従って、実際の粒子発生ノズルと集積させる基板との距離または基板の大きさを調整した。(4)ナノ粒子構造体の形成に向け、高結晶ナノ粒子のエアロゾル化を行う輸送制御技術を開発した。構造体の形成技術として、エアロゾル化技術と外力を用いた気中での粒子の輸送・制御技術、基板の帯電パターニングによる粒子集積制御技術を開発し、一連の技術の高度化と最適化を行った。これら技術により形成した、2次元と3次元の粒子構造体を用いて、高感度の環境センサを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、気相法による高結晶ナノ粒子合成技術と高い選択性をもつ粒子集積化技術を用いて、「複合型ナノ材料プロセッシング」を開発し、高性能な粒子状素子を創製することを目的とする。平成23年度には、下記の(1)(2)(3)を予定していたが、(1)ナノ粒子の合成と液中分散(2)懸濁液の気中分散と粒子構造体の形成:(3)帯電粒子の輸送を予測する数値シミュレーション:平成23年度中には、高結晶ナノ粒子のエアロゾル化を行う輸送制御技術の開発も行い、これら技術により形成した、2次元と3次元の粒子構造体を用いて、高感度の環境センサの作製まで行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、気相法による高結晶・高純度ナノ粒子合成技術と高い選択性をもつ粒子集積化技術を用いて、気相プロセスに液相法の利点を組み込んだ「複合型ナノ材料プロセッシング」を新規に開発し、数十~数百nmオーダーの高性能な粒子状光学素子を創製することを目的とした基盤研究である。この目的のため、外力を用いて、気中におけるナノ粒子の輸送と基板上のナノ粒子群の構造を制御し、高感度の環境センサ素子と発光体素子を構成するナノ粒子構造体における最適な幾何学的構造モデル(粒子サイズと集合状態等)を探る。ナノ粒子構造体の形成に向け、新たに開発された高結晶ナノ粒子を材料とする懸濁液を用い、その後のプロセスを気相において行う輸送制御技術を開発する。構造体の形成技術として、エアロゾル化技術、静電気力等の外力を用いた気中での粒子の輸送・制御技術、基板の帯電パターニングによる粒子集積制御技術を開発し、一連の技術の高度化と最適化を行う。これら技術により形成した、多次元(1・2・3次元)の粒子構造体を用いて、高感度の環境センサおよび発光体素子を作製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に得られた結果を基にして、(1)粒子構造の気中加熱とリアルタイム計測を行う。ナノ粒子を気相化する際、分散剤由来の有機物が粒子を覆い、気相中において有機物を除去する目的の加熱を行うことで、基板に到達する前にナノ粒子に付着した有機物を除去し、純度の高い粒子を集積させる。操作温度を変更し、高温場内の滞留時間を制御しながら、気中加熱をしながら計測を行う。一方、帯電されながら気中に浮遊する粒子構造体を捕集して、電子顕微鏡で形態を観察する。得られた粒子構造体の形態と原料粒子のサイズとの関連性を調べる。さらに現有装置であるエアロゾル粒子径分布計測装置を用いて、低温および高温場に形成された粒子構造体の粒子径を計測することで、温度および滞留時間と粒子構造体の形態との関係を明らかにする。(2)帯電ナノ粒子・構造体の基板への集積:予め気中で形態が制御された粒子または粒子構造体を目的の基板へ輸送させて、帯電等による集積を行う。粒子構造体の距離を制御する場合、基板には帯電パターン化を行う。帯電パターンにより、様々な幾何学的構造体が得られ、それらの粒子および粒子構造体の形態を観察する。この集積化技術では、基板として導電体の他に絶縁体を用いることもできる。以上により、得られた結果をとりまとめ、成果の発表を行う。 なお、平成23年度に支出予定だった学府内共通機器(顕微ラマン)のための修理費用(100万円弱)が年度末の頃に学府内共通経費からの支出に決定され、未使用額が生じた。
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Research Products
(5 results)