2012 Fiscal Year Research-status Report
帯電エアロゾルを用いた高結晶性微粒子の多次元集積と評価
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23560904
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
LENGGORO WULED 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10304403)
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Keywords | ナノ粒子 / 合成 / 集積 / 光学特性 / 基板 / 表面 / 微粒子 / エアロゾル |
Research Abstract |
本研究は、気相法によるナノ粒子合成技術と高い選択性をもつ液相粒子集積化技術を用いて、気相プロセスに液相法の利点を組み込んだ「複合型ナノ材料プロセッシング」を新規に開発している。外力(電界など)を用いて、気中におけるナノ粒子の輸送と基板(金属・ガラス・有機物等)上のナノ粒子群の構造を制御する。粒子構造体の形成に向け、新たに開発されたナノ粒子を材料とする懸濁液を用い、気相において行う新規の輸送制御技術を開発している。 安定した懸濁液の調整を行って、懸濁液における粒子集積技術の開発をしながら、懸濁液のエアロゾル化技術(気中での粒子の輸送)と、目的の基板での粒子集積制御技術を開発し、一連の技術の高度化と最適化を行っている。 ナノ粒子の液相合成技術には電気化学的な手法を取り入れ、モデル材料としてシリカ系粒子を用いた。比較のために従来の液相合成法で粒子の合成も行い、粒子径が数10 nmの銀粒子の合成が確認できており、合成法に工夫を加えることで液中における銀粒子の帯電状態(ゼータ電位基準)がプラス帯電またはマイナス帯電で制御できることがわかった。 一方、懸濁液の気中への分散(エアロゾル化)とその後の基板への集積させるが、懸濁液に対して電界を印加し、気中において帯電粒子を浮遊させて、目的の基板に集積させる方法を開発した。目的の基板の材質としてガラスや金属の他に有機物(プラスチック等)も用いており、全ての基板に粒子が集積できることを確認した。さらに学内で実施されている「植物への粒子沈着」プロジェクトからヒントを得て、植物の葉を有機基板とみなし、粒子を葉表面に集積させる実験も行っている。 基板上に集積した粒子の個数濃度等を評価するためには主に光学特性を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発表論文を基準にすると予想していた達成度へのスピードがやや低いが、順調に研究が進展している。基板上ナノ粒子を分析する手法は多く存在しているが、局部的な分析する装置がほとんどである。それらを使う場合、mmオーダーの基板上のナノ粒子の個数濃度を把握するために時間がかかってしまう。そこで本年度ではナノ粒子をより効率よく分析できる手法を新たに開発しながら、本研究の目的である粒子の集積技術を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
基板上ナノ粒子の分析手法のほとんどは局部(ミクロメーターオーダー)に限定されており、ミリメーターオーダーの基板におけるナノ粒子の個数濃度を把握するために時間がかかってしまう。ここでナノ粒子をより効率よく分析できる手法を新たに開発し、本研究の目的である粒子の集積技術の開発を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
液相法による合成した粒子を用いて、次年度には(1)懸濁液のエアロゾル化による目的の基板への粒子集積技術の高度化、(2)集積した粒子の評価、を行う。そのためには次年度に研究費を使用する。具体的には以下の項目で研究を実施する。 【金属粒子構造体の光特性の計測】基板上に異なる幾何学的構造の粒子群を集積した後に、光特性を計測する。金属粒子を集積した場合、表面増強ラマン散乱法システムを用いる。ここで、特定の有機物(例えば残留農薬のモデル成分)に対して、銀粒子による増強効果を調べる。粒子構造体の集合状態とラマン分光の検出された結果と比較する。この結果から、光学(ラマン)特性が最適となる原料ナノ粒子のサイズおよび粒子構造体の幾何学特性を明らかにし、環境センサ用チップとしての銀ナノ粒子の構造体の性能を評価する。 【金属酸化物粒子構造体の光特性の計測】金属ナノ粒子と同様、基板上に異なる幾何学的構造の酸化物粒子群を集積し、光特性(蛍光特性)を計測する。粒子の結晶性・幾何学的構造と蛍光強度との関係を調べる。これにより、蛍光強度(輝度)が最も高い粒子構造体の幾何学特性を明らかにし、粒子構造の状態とエネルギー変換率との関係をモデル化する。 以上により、得られた結果をとりまとめ、成果の学会発表と同時に学術誌への投稿を行う。
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Research Products
(12 results)