2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560907
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
二井 晋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90262865)
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Keywords | 超音波 |
Research Abstract |
H24年度は粒子径測定においてH23年度までに使用していた動的光散乱装置に代えて粒子のブラウン運動解析に基づく装置を用いて行った。この変更により粒子径が50~300nmにある粒子径分布を高い分解能で測定することが可能となり、粒子分離特性についてシリカとポリスチレンラテックスを用いて詳細な評価を行った。公称70、100、300nmの粒子懸濁液を超音波霧化したところ、霧に取り込まれる粒子の上限が270nmであることに加えて、70nmの粒子は霧に取り込まれず、分離できる粒子径に下限があることが明らかとなった。この分離特性は粒子の種類に依存しないことから、超音波霧化によれば、非常に狭い粒子径範囲の大きさの粒子を選択的に霧に取り込んで分離できることがわかった。分離できる粒子径に下限が存在するという事実は当初予測できなかった発見であり、現在もこの分離が発現するメカニズムの解明に取り組んでいる。 分離粒子径を制御するための手法として、H23年度にイオン性界面活性剤を添加することで分離粒子径が小さくできることを明らかとした。H24年度は非イオン性界面活性剤を極低濃度で添加することで、分離粒子径が低下することに加えて、粒子回収量が劇的に増加する現象を発見した。本研究で提案する手法の実用化の観点から、粒子の回収率を高めることが重要であり、少量の添加剤を用いることにより粒子回収を大幅に促進kできることは、本技術の実用化に向けた意義が大きい。 また、霧と共に分離された粒子の回収法について検討し、超音波霧化で生成した霧の回収率を80%まで高める手法を開発した。目標は回収率を100%に近づけることであり、さらなる改良を進めている。 上で述べた成果について3件の国内学会と1件の国際会議での発表を行い公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
粒子径分布の測定装置として、研究の計画段階で十分利用できると予測し、H23年度に使用した光散乱法による測定装置の性能に限界があることがわかり、粒子の分離特性を精密に把握できない問題に直面した。この問題は、H24年度に新しい測定方式の装置を利用することで解決したため、本研究で提案する分離手法の特性を詳細に把握することができた。当初計画では、H24年度に異種粒子の混合物の分離特性を解明する予定であったが、現時点でのこの目的の達成度は50%であり、半年程度の遅れが出ている。また、H24年度計画において、粒子の分離メカニズム解明を行う予定であったが、当初予想されなかった実験結果である、分離できる粒子径に下限が存在するという新発見により、これまでの仮説がそのまま適用できなくなり、新たな仮説を立てて検証することが必要となった。これら2つの、研究計画段階で予測ができなかったことにより、当初計画よりわずかに遅れが出ているが、他の研究計画については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度には異種粒子混合物ならびに多分散粒子径からの標的粒子の分離特性について、同じ粒径もしくは異なる粒径の2成分を混合して調製して分離特性を調べる。H23、H24年度に得られた単成分多分散混合物の分離特性に関する知見と、H25年度で明らかにする予定の異種粒子混合物の分離特性に基づき分離メカニズムの仮説を立てる。分離メカニズムに大きく関わると考えられる因子は、霧化による液滴生成と、液中で粒子に作用する音響放射力であり、粒子径、粒子の荷電や親疎水性などの溶液や固体の表面特性、分散媒物性の条件を精密に制御した分離実験を行い、仮説の妥当性を立証する。 また、分離に最も大きく影響を与える因子を選び出し、粒子分離モデルを構築して、主要な操作因子と分離特性との間の相関関係を整理して操作の設計指針を確立する。本研究全体を通して得られた知見を論文としてまとめて発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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