2011 Fiscal Year Research-status Report
宇宙機の姿勢制御性能に影響を与える衛星内部状態量の高精度推定と軌道上推定の研究
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23560965
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
齋藤 宏文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (80150051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 真一郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10342619)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人工衛星 / 姿勢決定 / カルマンフィルタ / 地磁気センサ / バイアス誤差 |
Research Abstract |
平成23年度には,課題1,2に関して,宇宙機,特に小型衛星の姿勢決定に係わる衛星内部状態量の推定に関する研究を行った.従来の姿勢定系の多くは,センサのバイアス量を明確に分離して推定することはせず,雑音に含めてしまうことが多かった.これにより,姿勢推定の精度が失われることが起きていた.本研究では,このような時間発展法則が把握しづらい内部状態量を,推定する方法を研究している.具体的には,小型・安価であることから小型衛星の姿勢決定にしばしば用いられる地磁気センサについて,Unscented Kalman filterと呼ばれるカルマンフィルターの拡張である手法を適用して,地磁気センサの静的なバイアス誤差を,同時に推定することで高精度に姿勢決定を行う手法を新たに提案した. 同様に,課題3の「姿勢センサ(光ファイバージャイロ,FOG)の温度変化によるバイアスレートの変化を求める」課題では,時間変化する姿勢センサのバイアスを扱っている.FOGが温度変化を被ると,シュッペ効果という現象によって,バイアスレートが変化する.すなわち,動的に変化するバイアスを求める,あるいは補償する方法を研究している.これを求める方法として,FOGセンサ直近にヒータを貼り付けて擬似雑音符号(PN符号)にて時系列駆動することによりバイアスレートのインパルス応答を求める手法を平成23年度に確立し,研究成果をまとめている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題1,2の宇宙機の姿勢決定に関しては,既に地磁気センサの静的なバイアス誤差を姿勢と同時に推定する手法の提案に至っている.現在はさらにこの検討を進め,カルマンフィルタのパラメータを適応的に最適化する研究にまで進んでおり,これを応用して例えば動的に変動するバイアス誤差をも推定できる手法などにも取り組んでおり,当初の計画以上に進展していると考えている. 課題3については,温度擾乱がある場合の姿勢センサーのパラメータの変動を,擬似雑音信号列入力によって求める方法を確立したので,ほぼ予定通りの進捗である.備考に記載したように,課題1,2の成果が国際会議の"Student Paper Award"を受賞するなどしており,総じて当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
課題1,2の,宇宙機の姿勢決定に関しては,カルマンフィルタの適応化について検討を進め,事前のパラメータ調整が不要な姿勢決定則の検討や,宇宙機内の機器の通電状態変化などにより生じる磁気バイアス誤差の動的な変化にも対応できる姿勢決定則の検討などを行っていく予定である. 課題3については,今後は,姿勢センサの温度計測値とバイアスレートの応答を精度よく求める手法を確立する.システム同定の分野で知られている白色化フィルタ法などの手法を検討していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の結果得られた成果を広く発表するための旅費として主に使用する予定である.また,研究の進展に応じて要すれば,計算機シミュレーションを行うための計算機等購入の可能性も検討している.
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