2011 Fiscal Year Research-status Report
ハイドレート技術を用いた農工融合による低炭素社会の実現に関する研究
Project/Area Number |
23560984
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 誠治 東京大学, 工学系研究科, 助教 (20302755)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 豊久 東京大学, 工学系研究科, 教授 (70124617)
岡屋 克則 東京大学, 工学系研究科, 助教 (80134493)
山本 佳孝 独立行政法人産業技術総合研究所, メタンハイドレート研究センター, 物理特性解析チーム長 (80358283)
竹谷 敏 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (40357421)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | CO2ハイドレート / 農工融合 / 施設園芸 |
Research Abstract |
本研究は、工業圏から発生するCO2を低コストのハイドレート技術により分離回収し、そのCO2並びに冷熱を農業圏のハウスや植物工場で有効利用する農工融合型施設園芸システムを提案するもので、本課題では、特に工業圏での役割である、工業圏から農業圏に供給する低コストのハイドレート分離技術及び、農工融合システムの成立性の試算を検討する。 平成23年度は、先ずCO2ハイドレート輸送方式に関する基礎検討と、農業圏でのCO2ハイドレートの有効利用形態について検討した。その結果、前者では、従来の粉体・ペレット生成型のハイドレートに替わる塊状型ハイドレートの生成がペレタイジングのコストの低減のうえでCO2においても有効であること分かった。 一方、後者では、小規模チャンバーにおいてCO2ハイドレートの利用により光合成の増進を維持した環境下でのCO2と冷熱を利用した作物に栽培が可能であり、ハウス栽培における冷熱とCO2の同時供給の有効性、すなわち、夏期の生産量の向上と作業環境の改善、農業コストの削減と工業圏での環境問題の改善の可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的には、概ね達成できたと考えている。23年度の申請時の予定では、「実用化に向けた基礎データの取得並びにハイドレートの流動化試験に関する検討」の実施を予定した。ハイドレート輸送に関しては、塊状型ハイドレートの提案は行えたが、エマルジョンハイドレートや常圧流動化ハイドレートの調査は行ったものの実験には至っていないためこれは次年度の課題と考える。 一方、ハウス栽培でのハイドレート利用に関しては、作物育成室内に設置したアクリル板製のチャンバー(8-x80x100cm)にCO2ハイドレート分解装置から供給される冷熱とCO2を供給する装置を設けトマト栽培が実施できたことで、冷熱とCO2の同時供給の有効性の第一段階の知見は得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
この研究で実施する具体的なテーマの項目を以下に示す。23年度の農工融合型ハイドレート利用の基礎調査において、工業圏側の課題については、幾つかの課題は克服する必要があるものの基本的には、これらの先行研究であるメタンハイドレート技術ができることが分かった。なお、ハイドレート生成技術そのものが他の農業分野に利用できる可能性があることが見出せたため今後この可能性の検証を行う予定である。 一方、ハイドレートの農業利用では、簡易的な実験であったがこれらを通して分解したハイドレートから発生するCO2と冷熱の最適比や余剰が予想されるCO2の利用対策をより検討することが、農業用に適した純度のハイドレートの製造につながることが判明した。そのため、当初の計画に比べこれらの解明に予算を費やすこととする。なお、3年目の地域における農工融合の成立性の試算には変更はないものと考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先ず、工業圏における課題としては、予定通り「低コストハイドレート連続生成CO2分離装置」の検討を行う。ここでは、常圧型CO2ハイドレート特性解析や、エマルジョン型の流動性型CO2ハイドレートを生成しハンドリング性の改善の効果を検討する(研究費使用品目:農作物保存共有型CO2ハイドレート生成容器製作)。 さらに、ハイドレート製造の更なる応用分野となる農作物のCO2ハイドレート化による長期保存についても同容器で試験を実施する(研究費使用品目:農作物保存共有型CO2ハイドレート生成容器製作)。 農業圏施設園芸側の課題としては、23年度に行った小規模チャンバーのデータのさらに正確に取り、今後工業圏で生成するハイドレートのCO2と冷熱の配分を考察する。また、この作業はこの技術の実用化を考慮し太陽光型園芸施設においても、CO2と冷熱の供給試験を行う(研究費使用品目:冷熱供給ヒートポンプ、CO2供給制御器、減圧弁、他)。 これらの最適配分の決定は、今後の工業圏CO2ハイドレート生成方式のベースとなる。
|