2014 Fiscal Year Research-status Report
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23561013
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
硲 隆太 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (00379299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 洋一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 研究員 (30133119)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 実験核物理 / 素粒子実験 / 化学工学 / 同位体分離 / マイクロ・ナノデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)40Ca(2+)(水相)+48CaL(2+)(有機相)⇔48Ca(2+)(水相)+40CaL(2+)(有機相): (Lはクラウンエーテル) ①Ca回収量(クラウンエーテルへの吸着量)をより高精度に測定するため、プロパンガス使用・炎光分光計を購入し、併せてCaとKのホロカソードランプを購入しICP原子吸光装置のフレーム分析との比較により約0.02ppmまでの測定が可能となった。これにより本学でリアルタイムに液液抽出の各段数でのCa濃度結果をフィードバック出来、従来、L:Ca=1:10と思われていた吸着量が、実際、L:Ca=1:3程度であり、7個のCaは無駄に供給され、クラウンエーテル濃度をさらに増やす必要があることが判明した。またこの3個のCaのうちの2個はクロロホルム有機溶媒に溶けている可能性も示唆され、Lの溶解の少ない他の有機溶媒(ジクロロメタン等)も検討する必要があることが判明した。一方、固液法で有効な高濃度(9M)塩酸を有機溶媒に付与し吸着量を改善する方法も液液法でテストを行ったが、吸着量は改善せず有機溶媒のみの方が良い結果を得た。 ②TIMSでのCa同位体測定の際、妨害イオンの40K+が想定以上に多く、前処理の必要性が示唆されていたが、ICP-AASによりK濃度も高精度で測定が可能となり、水、バイアル容器、塩化カルシウム等、混入経路を精査し、バイアルガラス容器からのK染み出しが示唆され、妨害Kの低減化により、前処理不要の同位体比測定の簡素化への道が開かれた。 (2)1H3H(気)+1H218O(液)<->1H2(気)+1H3H18O(液) ・上記、気液2相交換反応に向け、電解濃縮装置と併せ、逆浸透膜濾過装置及び高圧液送ポンプを核融合研究所(名古屋大学)より譲渡を受け、環境水中のイオンを含むほとんどの物質を蒸留せずに容易に除去出来、トリチウム測定を簡素化出来る装置の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
化学交換反応の前後に於いて、濃縮度と回収量(クラウンエーテルへのCaの吸着量)の各々の値を各抽出の段数ごとに精度良く求めることは必須であり、これまでICP-AES/OES(ICP原子発光分光分析装置)等を利用し、後者のCa濃度測定を行ってきた。前任校の広島大学より異動後、手元にICP-OESが無くなり、京都大学原子炉実験所のTIMS(前者の濃縮度の測定)と併せICP-OESを利用することになり、Ca濃度をすぐに測定することが出来なくなり、感度はICP-OESより劣るが、1ppm以上の測定感度を有し、簡易に測定が可能で少額で購入可能な炎光分光計(都市ガス)を購入したが、検量液のマトリックスの違いによる校正の相違及び測定結果の再現性(2~3倍の不定性)に疑義が生じ、別メーカーの炎光分光計(プロパンガス)と交換・買換えを行い、併せて、大阪産業大学新産業研究開発センターのICP原子吸光装置もCaとKのホロカソードランプを購入することによりフレーム分析で0.02ppmまで測定可能となったが、自前で高感度なCa濃度測定を用意するのにこの間、機器間の検証実験を含む大幅な時間的ロスが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
・マトリックスの最適条件(クラウンエーテル、有機溶媒、濃度、温度、反応時間(流速・流路長・形状)はおおよそ決定し、多段濃縮・高速化及び回収量(濃度)・分離係数の向上に向けてバッチ法と並行してマイクロリアクターでの開発を行う。既に化学交換法に於いて最大の分離係数(樹脂による固液抽出法の約5倍、過去の同様な液液抽出法の約2倍)を得ており、多段化に当たり、バッチ法での結果:反応時間を最低30分確保する必要からマイクロ平行向流では無く、マイクロセグメント循環流として液滴により比界面積を稼ぐ方法を採用し、北海道大学工学研究院の渡慶次教授にオーダーメイドの流路に拡張部を交互に全長約4m有するマイクロチップを設計頂き、リアクターでの実験を開始する。 ・トリチウム水の気液2相交換反応装置も既に名古屋大学から本学への移設済で、重水をトリチウム水に置換え、こちらもマイクロチップでの本実験を開始する。
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Causes of Carryover |
異動により所属研究機関が変わり、これまで実験作業を担ってきた有機化学・化学工学にスキルのあるマンパワー(旧所属機関:広島大学の大学院生)が不在となり、クロロホルム等、有機溶媒の毒劇物を使用し、環境からのカルシウム混入等、高精度なノウハウも要求され、未経験の文系学部生には不可能で、派遣企業を通したスキルのある実験補助員を新たに雇用し、当該助成金を人件費(謝金)の一部として支給してきたが、年度後半は本実験補助員は主婦で子育てもあり、勤務日数が想定より制限されたため余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度もスキルのある実験補助員の人件費(謝金)として支給予定。併せて共同研究先(京大炉・東工大・名大・北大)との調査・実験・研究打合せ旅費として研究費を使用する。継続してTIMSによる高感度同位体比測定に関して、京都大学原子炉実験所と共同で実施し、ICP-AASアセチレンガスボンベ容器、北大・マイクロ化学技研とのマイクロチップ、チューブ、コネクタ等の消耗品に充当する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Search for neutrino-less double beta decay of 48Ca2014
Author(s)
S.Umehara,T.Kishimoto,M.Nomachi,S.Ajimura,N.Nakatani,K.Matsuoka,K.Ichimura,M.Saka,T.Ishikawa,D.Tanaka,M.Tanaka,S.Yoshida,K.Suzuki,G.Ito,H.Kakubata,W.Wang,J.Takemoto,W.M.Chan,M.Doihara,Y.Tamagawa,I.Ogawa,T.Ueno,S.Maeda,A.Yamamoto,S.Tomita,G.Fujita,A.Kawamura,T.Harada,K.Fushimi,R.Hazama,H.Ohsumi,K.Okada
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Journal Title
EPJ Web of Conferences
Volume: 66
Pages: 08008-1-4
DOI
Open Access
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