2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23561016
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大澤 孝明 近畿大学, 理工学部, 教授 (10038028)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 原子力エネルギー / 加速器駆動炉 / 動特性 / 遅発中性子 / 核データ |
Research Abstract |
本年度は、原子炉中で生成する超ウラン元素のうち、ネプツニウム(Np-237)、アメリシウム(Am-241)の遅発中性子収率のエネルギー依存性を解析した。また、核分裂中性子エネルギースペクトルのより正確な評価を目指したプログラム開発を行った。1.確率論的方法および決定論的手法による計算を実施するためのプログラムを作成し、導入したワークステーションを用いて解析計算を実施した。2.271種類の先行核の核分裂収率と遅発中性子放出確率を用いて、遅発中性子収率を計算した。計算値は測定値に比べて過大になる傾向が見られたが、核分裂片の奇偶効果(陽子数が奇数の核分裂片は偶数の分裂片より生成率が小さいという効果)を考慮すると、一致は改善されることが分かった。入射エネルギーの関数として見ると、入射エネルギーが高くなるほど遅発中性子収率は減少する傾向が見られた。先行核ごとの収率の変化を分析すると、特にヨウ素(I-137)とイットリウム(Y-98)の寄与が大きく減少することが分かった。これは、I-137は核分裂のStandard-2モードの重分裂片領域にあり、Y-98は同じくStandard-2モードの軽分裂片領域に存在し、Standard-2モード成分は入射エネルギーと共に減少するため、共に減少することによることが分かった。3.核分裂生成物の荷電分布をガウス関数で表示する場合、最確電荷の値により結果が大きく左右されることが分かった。最確電荷は質量数2~4の幅で揺らぎを示すのでこれを取り込むことも必要であろうと思われる。4.核分裂片のクーロン加速途中における中性子放出の可能性を、マルチモード核分裂モデルに基づくシミュレーションにより検討し、無視できない寄与があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はNp-237とAm-241について解析計算を実施した。精度の点についてはいまだ改善すべき余地があるが、作成したプログラムでほぼ適正なデータが得られることが分かったので、他の核種に拡張する目途がついた。しかし、まだ詳細に詰めなければならない問題が多々あるので、より精密化を図ると共に、群構造の変化と遅発中性子発生の時間依存性の違いなどの検討へ進みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次の研究を行う。(1)他の核種について本年と同様な解析を行う。核種により主役を演じる先行核が異なると予想されるので、その相違に着目する。(2)主役を演じる先行核が異なると、遅発中性子生成の時間変化も異なると思われるので、時間依存性の解析も行う。(3)核分裂収率における奇偶効果の励起エネルギー依存性をモデル化してより正確な評価を目指す。今年度予定していた調査出張が実施できなかったため、未使用額(53,419円)が発生した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算の種類によりワークステーションとパソコンを使い分けているが、大学院生に補助計算やデータ処理をやってもらうためもう1~2台のPCが必要である。そのほか、ソフトウェア、周辺機器などの追加整備、研究成果の出版(論文投稿)、他研究機関の研究者との討論も行いたい。今年度の未使用額も併せて支出することを計画している。
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Research Products
(3 results)