2011 Fiscal Year Research-status Report
エマルジョン混合によるバイオディーゼル生成反応の促進に関する研究
Project/Area Number |
23561028
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 邦夫 東京工業大学, フロンティア研究機構, 教授 (70134848)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バイオディーゼル / エマルジョン / スタティックミキサー |
Research Abstract |
本研究では、スタティックミキサーを用いて油中にメタノールを微粒子化させ均一に分散しエマルジョン化することで反応表面積を増加させ反応促進を図り、少ない原料、室温下でのバイオディーゼル(BDF)生成反応をめざし、通常の機械撹拌と比較することで反応促進効果を明らかにした。 アルカリ触媒を用いたコーン油とメタノールのエステル交換反応によって実験を行った。BDF成分である脂肪酸メチルエステル(FAME)収率ついては、スタティックミキサーによる混合では反応初期からFAME収率は高くなり、時間が経過すると機械撹拌と同程度のFAME収率が得られた。FAME収率が最も高くなったのはいずれの混合法でもメタノール4.3 mol、水酸化カリウム1.8 wt %であった。スタティックミキサーのザウター平均粒径は、反応初期の約9割が5 μm以下で機械撹拌の1/5程度、反応表面積は約5倍であることが分かった。機械撹拌での反応速度は反応初期に拡散律速、その後反応律速によって支配されて平衡状態に近づくが、スタティックミキサーによる混合では反応表面積が増大したことから拡散律速の影響は少なく、反応初期から反応律速過程によって支配されていると考えられる。反応速度解析を行った結果より、反応律速過程においてスタティックミキサーによる混合は機械撹拌と比較すると、反応速度定数は約1.5倍となり、スタティックミキサーによって反応が促進されたことが明らかになった。また、スタティックミキサーによる混合ではFAME収率は15分ほどで高く安定した値を取り、この時の速度定数は反応律速過程の反応速度定数の1/10~1/100程度の値を取っていたことから平衡状態であることが確認され、さらに機械撹拌よりも早く平衡状態に達していた。このことから、従来の回分操作から連続操作への応用により、生成時間・生成量の増加が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、植物油中にメタノールをエマルジョン化して混合させ、従来の機械的攪拌混合法と比べて、植物油中にメタノールをより均一に分散させ、同時に反応表面積の大幅な増大を図ることによって、飛躍的な反応促進を実現し、その結果として従来技術が持つ問題点の解決を図ることを目的としており、平成23年度の研究成果によって、エマルジョン化のメリットが実証されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、原料油としてコーン油を用いて実験を行ったことから、平成24年度は、わが国で実用化されている廃食油を用いて平成23年度と同様な実験を行い、コーン油との比較検討を行う。また、東南アジア諸国で非食用油として注目されているヤトロファ油の原料油としての利用を検討する。特に、ヤトロファ油については、酸化しやすく、予め酸化値を下げる前処理が必要となることから、ヤトロファ油とエタノールを酸触媒存在下でエステル化反応を行い、酸化値を下げる反応に着目して、エマルジョン混合をこの反応に適用した場合の効果についても調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に必要な実験設備は整備したため、平成24年度の研究費は主として消耗品の購入に使用する。
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