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2011 Fiscal Year Research-status Report

送粉系における側所的生態分化と遺伝分化

Research Project

Project/Area Number 23570025
Research InstitutionTokyo Gakugei University

Principal Investigator

堂囿 いくみ  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70462489)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 牧 雅之  東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (60263985)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords種間関係 / 送粉系
Research Abstract

植物の花形質には地理的変異が見られることが多い。このような変異は、地理的隔離による異所的分化と、分化後の二次的な交雑といった視点からこれまで研究されてきた。しかし近年、共進化系の地理的モザイクという概念からのアプローチが注目されつつある。環境が場所によって異なるとき、各地域における植物の生理・生態形質や、送粉者の形質や種構成はその影響を受ける。すると、送粉者による花形質への選択圧の強さや方向が、地域毎に変化することになる。その結果、局所適応がモザイク状に生じ、花形質の地理的な変異がもたらされる。このような局所適応という視点から、繁殖形質(表現型)の生態型分化を明らかにした例は少ない。 シソ科ヤマハッカ属(Isodon)のイヌヤマハッカとタカクマヒキオコシでは、筒状の花の長さに地理的な変異が見られる(4-12mm)。それぞれの種内で、花筒長は高度勾配上で側所的に分化している。これらの送粉者は主に2種のマルハナバチである。ミヤママルハナバチは口吻が短く(8-12mm)、山地性であるが(800-1500m)、トラマルハナバチは口吻が長く(10-17mm)、低地から低山地(100-1200m)に生息する。 これまでの研究の結果、ヤマハッカ属の花筒長、遺伝分化のカギとなる環境要因は,生息地の標高である可能性が示唆されている(Dohzono & Suzuki 2010)。これは、高度環境の変異がマルハナバチの種組成やフェノロジー(開花・マルハナバチ種組成)に影響した結果、標高毎に花筒の長さへの選択圧の強さや方向が変化し、異なる標高間での花粉の移動(遺伝子流動)が制限されたためだと考えられる。本研究は、「標高という環境要因が、マルハナバチの種組成やフェノロジーの変化を通じて、植物の繁殖形質分化と遺伝分化をどのようにもたらすのか」、そのメカニズムを実証的に解明することを目的とする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ヤマハッカ属の花筒長と遺伝的分化の要因と予想されたのは、生息地の標高である。標高の異なる集団を対象に、側所的な生態分化をもたらすメカニズムを明らかにするため、西日本に分布するタカクマヒキオコシ群を対象とし、以下の点について調査した:(1)マルハナバチ相(種組成)と花筒長の集団間変異、(2)集団間の遺伝的分化の実態。高度勾配にそって花筒長変異がみられる兵庫県氷ノ山周辺のタカクマヒキオコシ10集団において野外調査を行った。(1)マルハナバチ相(マルハナバチの訪花頻度)と花筒長の集団間変異標高の異なる地点から集団を選び、まずはマルハナバチ・花筒長・フェノロジー(マルハナバチ相・開花)の集団間変異を測定した。結果、高標高の集団では、ミヤママルハナバチの訪花頻度が高く、花筒の長さは短い傾向があった。低標高の集団ではトラマルハナバチの訪花頻度が高く、花筒の長さは長い傾向があった。(2)集団間の遺伝的分化集団間の遺伝的分化を調べるため、タカクマヒキオコシ群のマイクロサテライトマーカーを開発している。マーカー数を増やしていけば、集団間の遺伝子流動から、標高差による表現型分化が遺伝子流動を制限し、集団間の遺伝的分化へ影響しているかどうか明らかにできる。

Strategy for Future Research Activity

野外調査は、兵庫県氷ノ山周辺のタカクマヒキオコシの集団において行う。(1)花筒長と開花時期の集団間変異:各集団の花筒の長さと開花期間を測定する。予備調査の結果と合わせて、それらが標高によってどのように変化するかを詳細に明らかにする。(2) 花筒の長さへの選択圧の集団間変異:各集団において、マルハナバチ2種の訪花頻度と受粉効率(1回訪花の結実率)を測定する。これらをもとに、花筒長に対する選択圧を推定し、マルハナバチ相の変異が花筒長の変異をもたらす原因かどうか検討する。(3)集団間の遺伝的分化:開発したマーカーを用いて、集団間の遺伝的分化と遺伝子流動のパターンを解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

(1)野外調査:氷ノ山の集団において、9月上旬から10月下旬にかけて、4日間×5回、申請者自身と調査補助2名により調査する。(2)遺伝マーカーによる遺伝的分化の解析野外調査対象集団から採集した葉のサンプルからDNAを抽出し、マイクロサテライトを用いた集団遺伝解析を行う。Fstを用いた集団遺伝分化の評価に加え、コアレッセントシミュレーションに基づく遺伝子流動の推定を行い、集団遺伝構造を多角的視点から明らかにする。集団間の遺伝的分化や遺伝子流動の程度と、花筒長・マルハナバチ相・標高・地理的距離・フェノロジー(開花・マルハナバチ相)の重なりとの相関を検討し、環境変異と表現型分化、遺伝的分化の関係を解明する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Is bumblebee foraging efficiency mediated by morphologial correspondence to flowers?2011

    • Author(s)
      Dohzono, I., Takami, Y. and Suzuki, K
    • Journal Title

      International Journal of Insect Science

      Volume: 3 Pages: 1-10

    • DOI

      10.4137/IJIS.S4758

    • Peer Reviewed
  • [Remarks]

    • URL

      http://www.u-gakugei.ac.jp/~dohzono/index.html

URL: 

Published: 2013-07-10  

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