2012 Fiscal Year Research-status Report
RCC1様タンパク質を中心とするミトコンドリア核様体分裂の分子制御機構の解明
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23570076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 成江 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20359699)
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Keywords | ミトコンドリア核様体 / RCC1様タンパク質 |
Research Abstract |
生体内において、mtDNAとタンパク質の複合体であるミトコンドリア核様体は、mtDNAの分配ユニットとして機能する。しかし、その分裂の分子機構はほとんどわかっていない。我々は、ミトコンドリア核様体の形態学的解析に優れた真正粘菌における核様体のプロテオミクス解析から、ミトコンドリア核様体の等分裂に重要である新規ミトコンドリア局在型RCC1様タンパク質pmn67を発見してきた。本研究では、まず抗pmn67抗体を用い、pmn67がミトコンドリア及びミトコンドリア核様体に局在していることを明らかにした。また、pmn67の発現抑制株で観察されたミトコンドリア核様体の不等分裂が、ミトコンドリアの不等分裂によって生じたものではないことを明らかにした。また、発現抑制株のミトコンドリアを電子顕微鏡で観察した結果、ミトコンドリア核様体周辺のクリステが減少していたことから、pmn67はミトコンドリア核様体とクリステの結合の形成を通して核様体の形態および分裂を制御している可能性が考えられる。さらに、発現抑制株におけるミトコンドリア構成タンパク質の変化を質量分析で調べた結果、ATPase α、β subunitの発現が低下していることが分かったが、それらのタンパク質の発現抑制株では、クリステの減少が見られなかったため、それらのタンパク質の減少がクリステの減少を引き起こしているわけではないと考えられる。また、pmn67のヒトホモログの探索を行い、ミトコンドリア局在型のRCC1様タンパク質(hmtRCC1)を同定した。RNAiにより発現抑制した結果、ミトコンドリア核様体の巨大化が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画していたpmn67と相互作用する低分子量GTPaseの同定および、その機能解析については、現在、酵母Two-hybrid法の準備を行っているところであり、完了していない。しかし、平成25年度に予定していたpmn67の普遍性に関する解析に関してはミトコンドリア局在型ヒトホモログを同定し、その機能解析を進めることができたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
pmn67と相互作用する低分子量GTPaseを同定するために、単離ミトコンドリア核様体のプロテオミクス解析による3種類の低分子量GTPaseを候補とし、pmn67がそれぞれのGTPase(GDP固定型変異をいれて不活性型にしたもの)に結合するか酵母Two-hybrid法を用いて調べる。さらに、ミトコンドリアのプロテオミクス解析も行い、低分子量GTPase候補をさらに同定し、同様の解析を行う。候補GTPaseに関しては、大腸菌で発現・精製し、GTPaseに対するグアニンヌクレオチド交換因子活性をもつかどうかをin virtoアッセイ系でかめ確る。さらに、候補GTPaseに関してモルフォリノアンチセンスオリゴを用いた遺伝子抑制解析を行い、ミトコンドリア核様体分裂の制御機構に関与するGTPaseを同定し、その機能解析、および標的タンパク質の同定を行う。さらに、hmtRCC1の機能解析も勧め、pmn67の普遍性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
すでに研究室で保持している実験機器を用いる予定であり、本研究費では消耗品の購入により研究の遂行を行うことが可能である。よって研究経費のほとんどは試薬、ガラス器具などの消耗品購入にあてる。
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