2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570122
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
星 良和 東海大学, 農学部, 准教授 (70332088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 顕子 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00244674)
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Keywords | 種分化 / 染色体 |
Research Abstract |
種分化と染色体進化が大きく関連している被子植物の中で、各染色体の形態(動原体の位置や二次狭窄の有無)、すなわち核型がほとんど変わることなくサイズのみが大幅に異なっているゲノムセットをもつ種およびその近縁種が知られている。シオン属(Aster)は、これまでに種分化及び核型進化の解析のため、染色体を用いた詳細な比較研究が数多くされている。また、モウセンゴケ属は、1960年代から先駆的に染色体の研究が行われ、本属のコモウセンゴケ複合種においてみられるゲノムセットの各染色体サイズが上記同様、モウセンゴケと近縁なコモウセンゴケと比べその染色体サイズは半分以下であることは古くから知られている。そこで、シオン属およびモウセンゴケ属の相似的な染色体サイズの違いをもつ種を材料に、染色体サイズの減少だけでなく増加に関与する新規DNAを多数特定し、分子レベルから種分化と染色体の進化について推察するため、平成24年度は、染色体サイズの差異をもつゲノム間での効率的なディファレンシャルディスプレイ解析して得られたDNA断片を単離した。また、単離したDNAを用いて、染色体上へのFISHを行うとともに、シークエンスにより塩基配列を決定した後、比較解析を行った。さらに新たなプローブを用いてノコンギクおよびトウカイコモウセンゴケの染色体でのComparative FISH法を確立し、ノコンギク染色体においてはシロヨメナおよびユウガギクの異質倍数性からなるゲノム構成を持つことと、トウカイコモウセンゴケ染色体においてはモウセンゴケおよびコモウセンゴケの異質倍数性からなるゲノム構成をもつことの可能性を示す結果が得られた。ITS配列によるシオン属とヨメナ属の系統解析では、両者の違いが生じた時間を推定するとともに、ノコンギクの交雑由来を分子レベルで明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で得たディファレンシャルディスプレイの結果をもとに目標どおりの単離したDNA断片を用いてFISHを行い、雑種起源とされる種において、それぞれのゲノムをGISHとほぼ同様のパターンで染め分けることができたことから、当初の計画どおりに研究が進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らのこれまでの研究で、シロヨメナとユウガギクの染色体全域に共通のレトロトランスポゾンが分布している事が明らかになっているが、ノコンギクでのレトロトランスポゾンの染色体上での分布や高頻度反復配列についても情報解析を行う。この共通配列について,クローニングとシークエンスによる解析の後、FISHによりその分布域を染色体上で明らかにする事で、染色体サイズ減少の過程で脱落した領域を推定する。さらにそれぞれの植物に含まれるトランスポゾン配列の系統解析により、進化の過程でトランスポゾンが垂直転移を行っているか、平行転移を行っているかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
それぞれの植物における特異的配列、共通配列についての物理的分布と塩基配列のデータの統合を行う。これにより、最終年度では、進化の過程で脱落した配列を特定し、ヨメナ属に見られる染色体変化についての仮説を検証し、論文を作成する。
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