2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570128
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
湯本 勲 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 副研究部門長 (30358303)
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Keywords | 藍染め / インジゴ還元 / Amphibacillus / Bacillus |
Research Abstract |
これまでの検討から、インジゴ還元槽には多種類のインジゴ還元菌が存在することが明らかになってきた。藍の発酵槽に存在するインジゴ還元菌は、それぞれの発酵槽やその使用期間によって異なる微生物が存在することが予測される。現状においては、それらインジゴ還元微生物を効率的に分離する方法が無い。そこで、本年度は、インジゴ還元微生物を選択的に分離するのに有効な選択培地の作出を試みた。培地の固化材を寒天に変えてゲランガムを用い、滅菌による活性酸素の発生を抑えるとともに、長期間培養によりコロニーが拡大する微生物の生育を抑えるために低い栄養条件と嫌気条件を採用した。さらにインジゴ還元能に基づく選抜が行えるように培地の成分に指示薬を添加した。この新たに勘案した培地について、これまでに栄養分として用いていた培地成分の培地と比較検討を行った。当該選択培地を用いて分離した微生物について分類学的な検討を行った結果、新たなAmphibacillus属細菌種が1種とBacillus属細菌種が3種分離出来ていることが判明し、今回勘案した培地は、これまでに使用していた培地より、より広範囲の種類のインジゴ還元能を持った微生物の選抜能力においてはるかに優れた培地であることが分かった。今後、さらにさまざまな由来の発酵液を用いることにより、新規のインジゴ還元菌を分離することが可能であることが示唆される。また、昨年度までにインジゴ還元槽より、新たなインジゴ還元菌分離し、分類学的検討を行ったN314株について新種細菌Amphibacillus iburiensisとして発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、藍発酵液の菌叢形成原理の一端を明らかにすることである。藍発酵液の系はその良し悪しをその染色機能で判断出来ることが特徴である。またその染色機能は微生物機能と直結することから、微生物叢の良し悪しが、その機能と直結している。今年度に勘案した選択培地により、これまでと比較してはるかに効率的に目的機能である藍還元と直結しているインジゴ還元菌の分離、同定が行えるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果により、インジゴ還元微生物培養・分離に関する方法論は確立したと考えられることから、今後は、物理化学的パラメーターの解析を加え、さまざまな種類および培養期間の試料を用いて解析を行い、染色能をもったインジゴ還元槽の菌叢の共通点を見出すとともに、発酵期間の変遷に伴う物理化学的パラメーターの変化とインジゴ還元槽の微生物叢変化との関連性を見出すために研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度までに大規模なインジゴ還元菌のスクリーニングを行い、その分離菌の同定のために、予算を使用する予定であったが、これまでに分離していた微生物の同定および論文発表に予定していた以上に研究の労力を費やしたため、未使用額が生じた。 前年度新たに分離に成功した新規インジゴ還元菌の分類学的位置付けを明確にするための研究および、新規開発したインジゴ還元微生物選択培地を用いて、様々な藍発酵液を試料として、インジゴ還元微生物を分離し、分離した新規微生物の同定のために、未使用額を使用したい。
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Research Products
(2 results)