2012 Fiscal Year Research-status Report
TAM受容体チロシンキナーゼのリガンド認識機構の解明と創薬に向けた分子基盤
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23570146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 崇 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (10415250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 栄夫 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (60265717)
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Keywords | TAM受容体 / NMR / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
これまでに、糖鎖修飾のない2つの複合体、Axl:Gas6複合体及びTyro3ホモダイマーの立体構造を鋳型としてTyro3及びMerの立体構造モデルを構築し、各々に関してGas6との推定結合界面を同定した。そして、Tyro3については、糖鎖修飾可能なAsnがGas6との結合界面及びホモダイマーの界面に位置することを見出した。この知見に基づき2つの変異体、Asn→Arg(NR)及びAsn→Cys(NC)を作製した。ゲルろ過により、NRとNCはそれぞれモノマーとダイマーであり、野生型(WT)はモノマー/ダイマーの平衡にあること、また、NRとWTは各々Gas6と結合するが、NCは結合しないことを見出した。今年度はまず、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いてNR、NC、WTについてGas6との結合能を解析した。その結果、NRとWTはGas6と同程度の強さで結合するとともに、いずれも一対一の複合体を形成することが示された。さらに、NRとWTについて15N標識体を調製し、NMR滴定実験によりGas6との結合界面を同定した。その結果、WTはモノマーとしてGas6と結合し、その結合界面はホモダイマー界面と重なることが示された。さらに、酵母を用いて糖鎖修飾されたTyro3(glycoTyro3)を調製し、解析を行った。まずゲルろ過によりglycoTyro3がモノマーであることを明らかにした。次に15N標識体を調製し、NMR測定を行い、糖鎖修飾部位を確定した。SPRによりglycoTyro3とGas6との結合を調べた結果、糖鎖修飾の有無は解離定数に大きな影響を及ぼさないことが示唆された。現在、glycoTyro3とGas6の結合様式を明らかにするため、NMR測定を行なっている。他方、Merについては各種大量調製方法を確立し、物性、構造及び機能解析に適した条件検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、TAM受容体チロシンキナーゼの糖鎖修飾による物性、構造及び機能への影響を明らかにするために、主にTyro3に関する解析を進めてきた。その過程で、まず試料の調製について、大腸菌とK.lactisを用いてそれぞれ糖鎖修飾が無いTyro3と糖鎖修飾が有るglycoTyro3を調製する方法を確立した。一方、結合相手であるGas6は調製が困難であり、大腸菌及びK.lactisでは得られなかったため、ヒト細胞から調製する方法を確立した。次に物性については、ゲルろ過及びNMRにより解析する方法を確立し、結合については、表面プラズモン共鳴法及びNMRにより解析する方法を確立した。現在、glycoTyro3とGas6の結合様式を明らかにするため、NMRの方法のうちTransferred Cross Saturation法により測定を行なっているところである。その解析に必要なglycoTyro3の主鎖の帰属もほぼ完了している。以上、Tyro3について用いてきた方法は、全てそのままMerにも適用することが可能であり、目下、研究を進行させているところである。さらにMerについては、重水素標識及びアミノ酸選択的標識を施すための条件検討を進めており、ほぼ条件が収束したため大量調製をはじめたところである。以上のように、研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
TAM受容体チロシンキナーゼとGas6の認識機構を明らかにするため、引き続き解析を進める。Tyro3:Gas6複合体については、Transferred Cross Saturation法を用いて結合様式を明らかにする。Mer:Gas6複合体については、まず糖鎖修飾されたMerをK.lactisから、Gas6をヒト細胞から調製する。Merについては、さらに重水素化及びアミノ酸選択的標識を施し、結合部位についてNMRによる詳細な解析を行う。また、ゲルろ過、表面プラズモン共鳴法により物性及び機能に関する解析も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タンパク質の大量調製及び結合、物性の解析に必要な各種試薬、培地(安定同位体標識用の培地を含む)、消耗品等に当てる。また、打ち合わせ、情報交換などに必要な学会参加費及び旅費も必要となる
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[Journal Article] Anti-prion ctivity of an RNA aptamer and its structural basis2013
Author(s)
Mashima, T., Nishikawa, F., Kamatari, Y., Fujiwara, H., Saimura, M., Nagata, T., Kodaki, T., Nishikawa, S., Kuwata, K. and Katahira, M.
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Journal Title
Nucleic Acids Res
Volume: 41
Pages: 1355-1362
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] NMR study of xenotropic murine leukemia virus-related virus protease in a complex with amprenavir2012
Author(s)
Furukawa, A., Okamura, H., Morishita, R., Matsunaga, S., Kobayashi, N., Kodaki, T., Takaori, A., Ryo, A., Nagata, T. and Katahira, M.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 425
Pages: 284-289
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] NMR法によるAPOBEC3Gデアミネース活性に関する研究2012
Author(s)
R.Iwaoka, S.Kitamura, K.Kanba, A.Furukawa, H.Okamura, W.Sugiura, T.Nagata, Y.Iwatani, M.Katahira
Organizer
日本生物物理学会第50回年会
Place of Presentation
名古屋大学(名古屋市)
Year and Date
20120922-20120924
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[Presentation] Anti-prion activity and it strucural basis of RNAaptamer, and sliding-direction-dependent deaminase activity of anti-HIV enzyme2012
Author(s)
Mashima.T,Furukawa.A,Sugase.K,Fujiwara.H,Nishikawa.F,Morishita.R,Ryo.A,Kamatari.Y.Nagata.T,Nishikawa.S,Kuwata.K,Katahira.M
Organizer
XXV international Conference on Magnetic Resonance in Biological Systems
Place of Presentation
Lyon Convention Centre (France)
Year and Date
20120819-20120824
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