2013 Fiscal Year Annual Research Report
SUMO転移反応におけるダイナミズムの精密解析と生物種特異性の解明
Project/Area Number |
23570151
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
山崎 俊正 独立行政法人農業生物資源研究所, 生体分子研究ユニット, ユニット長 (40360458)
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Keywords | 生物物理 / 蛋白質 / 分子認識 / 構造生物学 / SUMO化翻訳後修飾 / SUMO化酵素 |
Research Abstract |
SUMO化翻訳後修飾は、活性化酵素E1 (SAE1/SAE2ヘテロダイマー)、結合酵素E2、リガーゼE3による3段階の反応を経て、標的タンパク質のLys残基とisopeptide結合を生じる。一連の反応過程においては、3種類の酵素(E1、E2、E3)およびSUMOがダイナミックに相対的な空間配置を変化させることが示唆されるが、分子機構の詳細は不明である。我々は、E2には従来報告されている高親和性のSUMO結合部位(第1結合部位)に加えて、低親和性のSUMO結合部位(第2結合部位)が存在することを発見した。さらに、第2結合部位は、E1からE2へのSUMO転移反応において重要な役割を担っていることを明らかにした。本年度は、イネ由来の天然型E2とSUMOの複合体、および、第1結合部位のSUMO結合能を欠損した変異E2とSUMOの複合体のX線結晶構造解析を行った。前者および後者の詳細な構造解析から、それぞれ、第1結合部位および第2結合部位におけるSUMO認識機構を原子レベルの分解能で解明することが出来た。昨年度に決定した天然型E2とE1の構成因子であるSAE2のC末ユビキチン様フォールドドメインUFDの複合体の結晶構造と比較すると、第1結合部位に結合したSUMOはUFDと空間を共有しており、両者がE2の同じ領域に競合的に結合することが明らかになった。一方、第2結合部位に結合したSUMOはUFDのE2への結合を阻害しない。これらのことから、UFDの結合を介して形成されるE1-E2複合体に対してSUMOはE2の第2結合部位に結合するものと考えられる。さらには、このE1-E2-SUMO三重複合体構造は、E1からE2へのSUMO転移反応の中間体構造をミミックすると考えられる。
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