2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期進行におけるヌクレオソーム形成と機能制御に関する研究
Project/Area Number |
23570170
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 美和子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40192538)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | キナーゼ / 核 / 細胞周期 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
高等生物における細胞増殖の根幹は、親細胞からの遺伝情報を正確に倍化し娘細胞に等しく分配することであり、周期ごとに繰り返される一連のプロセスは厳密に制御されている。申請者は、酵母から高等生物の生存と増殖に必須な酵素であるセリン・スレオニンキナーゼCK2が、翻訳開始因子eIF5を特定の細胞周期(G1初期)に直接リン酸化することをすでに報告した(Homma, MK. et al, PNAS, 2005)が、CK2の広範な分布や活性調節の仕組み等から、増殖への具体的な作用点にヒストン合成制御が予想された。本研究は、CK2が、G1/S期に誘導されるヒストンタンパク合成とその終結に関与する機序を明らかにすることを目的とする。さらに、ヒストン遺伝子発現の誘導と終結・タンパク合成制御とともに、機能的なヌクレオソーム形成と刺激に応じた解除の機序についても併せて解析する。 現在までに、各種コアヒストンならびにリンカーヒストン合成という観点では、mRNA発現レベルの定量解析システムを立ち上げ、細胞周期進行の時系列、各種阻害剤添加、遺伝子改変体の導入、それぞれの条件下について、データを集積中である。また、CK2による核機能制御という観点から、特定の細胞周期にCK2と相互作用する核内タンパクの同定を試みた。その結果、二次元電気泳動法と抗体アレイ法、さらに高感度nano LC-Mass解析技術を併用することにより、転写因子、細胞骨格系タンパクの他、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼII、DNA複製開始複合体、ヒストン合成、交換反応に関与するクロマチン制御タンパク等、これまで未同定であったCK2結合タンパクを多数同定した。これらの解析を進めると共にデータを考察し、ヒストンタンパク合成の誘導と終結、コアヒストン2量体・4量体の形成、について統合的な理解を得られるよう推進する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
核機能の観点から、CK2複合体解析が先行した。しかしながらこれらのデータは、CK2分子機能と相関する、ヒストンタンパクの合成とその終結、ならびにヌクレオソーム形成、のキーとなる制御因子を見出すものであると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞周期進行に伴うヒストンmRNAの合成と終結、これと相関するヒストンタンパク発現量の確認、ヒストンmRNA制御分子の発現、におけるCK2機能の関与について解析を継続し検証する。次のステップとして、ヒストンタンパクが発現した後の正常なヌクレオソーム形成に関連して、特定の時間軸においてCK2と相互作用し、その下流に位置する機能タンパクについて、生化学的、細胞生物学的な性状と機能制御の仕組みを解析する。以上のように、時系列に即したヒストンmRNAとタンパク発現、ヌクレオソーム形成へ、CK2/eIF5リン酸化等の分子機能がいかに関与し制御するのか、その仕組みを明らかにするために研究計画通りに進めていく予定である
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿う実験材料として、試薬、細胞培養用品、アイソトープ類、等の消耗品に大部分を使用する他、発現アレイ解析、プロテオーム解析等の受託解析も依頼する予定である。その他、研究補助員の雇用に人件費を、学会出張のための旅費を予定する。
|