2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期進行におけるヌクレオソーム形成と機能制御に関する研究
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23570170
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 美和子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40192538)
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Keywords | キナーゼ / リン酸化 / 核 / 細胞周期 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
高等生物における細胞増殖の根幹は、親細胞からの遺伝情報を正確に倍化し娘細胞に等しく分配することであり、その一連のプロセスは厳密に制御されている。申請者は、真核生物広範に分布しているセリン・スレオニンキナーゼの一つ「CK2 (CKII, casein kinase 2) alpha タンパク」について、翻訳開始因子eIF5を特定の細胞周期(G1初期)に直接リン酸化することで細胞周期進行に関与することをすでに報告した(Homma, MK. et al, PNAS, 2005)。さらにCK2の広範な分布や活性調節の仕組み等から、増殖への具体的な作用点にヒストンタンパク合成制御が予想された。本研究は、CK2がヒストン遺伝子発現の誘導、タンパク合成制御とともに、機能的なヌクレオソーム形成に関与する機序について解析する事を目的とする。 現在までに、コアヒストンならびにリンカーヒストン遺伝子について、細胞周期進行の時系列に沿った発現定量解析がセットアップできた。現在、遺伝子発現レベルの解析と併せタンパク定量解析、ヌクレオソーム形成について以下のようにすすめている。CK2が関与するシグナル伝達系や、CK2のターゲット分子であるeIF5の関与、ならびにCK2活性制御シグナルと関連させ、各種遺伝子変異体発現細胞、各種刺激財や阻害剤添加等、様々な条件下でのデータ収集を行っている。さらに生化学的な機能解析の観点から、抗CK2抗体による免疫沈降法ならびに抗tag pull-down法により、キナーゼと相互作用する複合体を様々な細胞条件下で調製し、プロテオミクス技術を用いた解析を繰り返し行っている。 それら再現性を確認した結果をふまえ、ヒストンタンパク合成の誘導と終結、ヒストン2量体・4量体の形成と交換反応、ヌクレオソーム形成、等への関与についてより包括的な理解が得られるよう、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒストン遺伝子には多様なアイソフォームがあるが、定量解析のセットアップがおおむね終了し、細胞周期進行の時系列や様々な細胞条件下での解析が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞周期進行に伴うヒストンmRNAの合成と終結、これと相関するヒストンタンパク発現量の確認、ヒストンmRNA制御分子の発現、これらへのCK2機能の関与について解析を継続し検証する。 具体的には、遺伝子発現レベルの解析と併せタンパクレベルの定量解析、ヌクレオソーム形成を主眼に、CK2が関与するシグナル伝達系や、CK2のターゲット分子であるeIF5の関与、ならびにCK2活性制御シグナルと関連させ、各種遺伝子変異体発現細胞、各種刺激財や阻害剤添加等、様々な細胞条件下でのデータ収集を行う。さらに生化学的な機能解析の観点から、抗CK2抗体による免疫沈降法ならびに抗tag pull-down法により、キナーゼと相互作用する複合体を様々な細胞条件下で調製し、プロテオミクス技術を用いた解析の再現性を確認する。 特にヒストンタンパクが発現した後の正常なヌクレオソーム形成に関連して、CK2と相互作用し、その下流に位置する機能タンパクについて、生化学的、細胞生物学的な性状と機能制御の仕組みを解析する。 以上のように、時系列に即したヒストンmRNAとタンパク発現、ヌクレオソーム形成へ、CK2/eIF5リン酸化等の分子機能がどのように関与するのか、その具体的な分子メカニズムを明らかにするために、研究計画通りに進めていく予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿う実験材料として、抗体等の試薬、siRNA等のキット、細胞培養用品、アイソトープ類、等の消耗品に大部分を使用する他、必要に応じて外部への受託解析も依頼する予定である。その他、研究補助員の雇用に人件費を、学会出張のための旅費を予定する。
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