2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期進行におけるヌクレオソーム形成と機能制御に関する研究
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23570170
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 美和子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40192538)
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Keywords | プロテインキナーゼ / CK2 / 細胞周期 / 増殖 / ヒストン / ヌクレオソーム |
Research Abstract |
DNA複製時には、ヒストン遺伝子発現に続くヒストンタンパクの合成が誘導され、新生DNA鎖等に取り込まれてヌクレオソームを形成する。一方、DNA複製の終結と共に、ヒストン遺伝子mRNAは速やかに分解され、ヒストンタンパクの合成も終結する。本研究は、このような細胞周期進行と連携するヒストン遺伝子の厳密な発現制御が行われる際に、セリン・スレオニンキナーゼの一種CK2が、直接のターゲットである翻訳開始因子eIF5を介して関与する機序を明らかにすることを目的とした。 ヒト由来培養細胞を血清飢餓によりG0期へ誘導したのち、血清刺激により同調的に細胞周期を進行させた。およそ2時間ごとに細胞集団を分取し、ヒストン遺伝子mRNA、ヒストンタンパク質について、定量的PCRならびにウェスタンブロットにより検討を行った。その結果、正常な細胞周期進行にともない、それらの発現誘導とタンパク量の増大が細胞周期特異的に観察された。一方、CK2阻害剤、CK2-siRNA処理後の細胞、dominant negative型CK2発現細胞では、コントロールの細胞と比べある種のヒストンmRNAならびにタンパクの発現抑制が観察された。われわれはCK2が細胞周期のG1期に直接リン酸化するターゲットとしてeIF5を同定し、その分子内4箇所のリン酸化部位を明らかにしたが、それらCK2リン酸化部位変異体eIF5を発現した細胞では、細胞周期進行の停滞と共にヒストン遺伝子発現の部分的な抑制が見出された。以上の結果から、ヒストンタンパク発現へCK2/eIF5を介する経路の関与が示唆された。 さらに、コアヒストン2量体・4量体の形成によるヌクレオソームへの取り込みには、NAP-1, CAF-1等のシャペロンタンパクが機能することが知られている。そのプロセスへのCK2関与を検討するために、細胞核内CK2複合体について質量マス解析を行ったところ、CK2活性化にともなうヒストンシャペロンタンパク群との相互作用を明らかにすることが出来た。
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