2011 Fiscal Year Research-status Report
コンドロイチン硫酸の高硫酸化活性ドメインの酵素合成とその生体内機能の解明
Project/Area Number |
23570176
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
杉浦 信夫 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 准教授 (90454420)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | グリコサミノグリカン / コンドロイチン硫酸 / 酵素合成 / 高硫酸化活性ドメイン / コンドロイチンポリメラーゼ / 硫酸基転移酵素 / コンドロイチナーゼ / バキュロウイルス |
Research Abstract |
(1)CS合成酵素の確保 大腸菌由来コンドロイチン糖鎖伸長酵素(K4CP)を大腸菌発現系で,各種硫酸基転移酵素(C4ST-1, C6ST-1, GalNAc4S-6ST, UA2ST)を動物細胞発現系で大量安定に調製出来る発現系を開発し,当面の酵素合成に必要な酵素を確保した。(2)高硫酸化CS糖鎖の調製 糖鎖マイクロアレイなどの親和性解析のために還元末端にヘキサメチレンジアミンやビオチン基を結合させた分子量1万(糖鎖長約46)のコンドロイチン糖鎖を化学及び酵素的に合成した。このコンドロイチン糖鎖に各種硫酸基転移酵素を用いて硫酸化修飾を段階的に施し,糖鎖長は一定ながら多様な硫酸化構造をもつ高硫酸化CS糖鎖ライブラリーを構築した。(3)生理活性分子との親和性解析 得られた人工糖鎖の還元末端修飾基(ヘキサメチレンジアミン,ビオチン基)を利用して,マイクロアレイ用スライドグラス,ELISA用マイクロプレート,表面プラズモン測定用チップに高硫酸化CS糖鎖誘導体を固定化した。それら糖鎖固定化担体を用いて,ミッドカイン・プレイオトロピンや各種抗CS抗体などのCS結合特性をエバネッセント蛍光マイクロアレイ,酵素抗体反応,表面プラズモン測定法により微量解析を行い,それぞれの生理活性分子と高い親和性を示す高硫酸化CS構造を探索した。(4)新奇コンドロイチン分解酵素の発見 昆虫細胞に感染するバキュロウイルスがコンドロイチン分解酵素を産生することを見出し,その酵素が包埋型ウイルスエンベロープタンパク質の一つODV-E66と同定した。その酵素は低硫酸化部位(0Sと6S単位)しか切断しない特異な基質特異性を持つことを特定した。この酵素の活性部位の立体構造を解析するためと,高硫酸化CSドメインの切り出しに応用するために大量発現系を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、高硫酸化CS誘導体の調製は順調に進み,特異的な硫酸基が98%以上修飾された糖鎖など,高硫酸化CS糖鎖ライブラリーを構築した。特に,硫酸基転移酵素を機能的に組み合わせることで,今まで生合成経路が不明であった3硫酸二糖単位(GlcUA2S-GalNAc4S6S)の酵素合成に成功した。さらに,高硫酸化CS活性ドメインの切り出しに応用できる特異な基質特異性を持つ新奇コンドロイチン分解酵素を昆虫細胞に感染するバキュロウイルスから見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
高硫酸化CS活性ドメインを探求するために,低分子コンドロイチン(分子量4,000、二十糖)とオリゴ糖(六糖から十糖)の硫酸基修飾体を調製し,それらとCS結合性分子との親和性解析を行う。低分子CSの配列解析方法を開発し,精密な活性構造の同定を試みる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酵素合成した人工硫酸化CS糖鎖の精製や精密構造解析のために,合成や解析用試薬と共に,分取用および分析用HPLCカラムや解析用チップ・マイクロプレートの購入などに研究費を使用する。
|
Research Products
(11 results)