2012 Fiscal Year Research-status Report
コンドロイチン硫酸の高硫酸化活性ドメインの酵素合成とその生体内機能の解明
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23570176
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
杉浦 信夫 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 准教授 (90454420)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 酵素合成 / コンドロイチンポリメラーゼ / 硫酸基転移酵素 / ELISA / 表面プラズモン測定法 / バキュロウイルス / コンドロイチナーゼ |
Research Abstract |
1.酵素合成高硫酸化コンドロイチン硫酸(CS)ライブラリーの構築 大腸菌由来コンドロイチン糖鎖伸長酵素(K4CP)を用いて調製した一定糖鎖長(平均46糖、平均分子量 1万)の還元末端ヘキサメチレンジアミン修飾コンドロイチンポリマーに,安定発現動物細胞株から得られた各種硫酸基転移酵素(C4ST-1, C6ST-1, GalNAc4S-6ST, UA2ST)を組み合わせて反応させ,二糖単位あたり二硫酸基および三硫酸基が修飾した多様な構造の高硫酸化CSポリマーを合成した。2.酵素合成CSオリゴ糖ライブラリーの構築とそれらの配列構造の決定 糖鎖長8のコンドロイチンオリゴ糖を出発物質として,各種硫酸基転移酵素を用いて硫酸化修飾を段階的に施し,多様な硫酸化構造をもつ高硫酸化CSオリゴ糖鎖ライブラリーを構築した。それら硫酸化オリゴ糖の配列構造を蛍光HPLCや質量分析機を用いて完全に決定した。3.生理活性分子との親和性解析 得られた人工糖鎖の還元末端をビオチンに変換して,ストレプトアビジンを塗布した ELISA用マイクロプレートや表面プラズモン測定用チップに固定化した。それらCS糖鎖固定化担体を用いて,神経性サイトカインや抗CS単抗体などのCS結合特性を酵素抗体反応や表面プラズモン測定法により微量解析を行い,それぞれのCS結合性分子と高親和性CS構造を解析した。4.昆虫ウイルス由来コンドロイチン分解酵素と昆虫CSの解析 各種バキュロウイルスが産生するエンベロープタンパク質ODV-E66がコンドロイチン分解酵素活性を示すことを確認し,その酵素学的性質を解析した。その中でも高い酵素活性を示したBmODV-E66を産生するバキュロウイルスBmNPVが感染するカイコ幼虫の組織に分布するCSを生化学的および免疫組織学的に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に高硫酸化CS誘導体の調製は順調に進み,二糖単位あたり二硫酸あるいは三硫酸が豊富・多様に結合した高硫酸化CS糖鎖を合成してCS糖鎖ライブラリーを充実させた。オリゴ糖合成においても八糖の硫酸化反応を行い,多様な硫酸化組成からなるCSオリゴ糖ライブラリーも構築できた。これら合成CSオリゴ八糖の配列構造決定方法を,蛍光標識・特異的酵素分解・高速液体クロマトグラフィー・質量分析機などを駆使して確立することができた。これらCS糖鎖ライブラリーの還元末端をビオチン化し,ELISAや表面プラズモン測定法によりCS結合性分子との高親和性CS構造を探求し,生物機能との関連性を考察できた。さらにAcMNPV以外のバキュロウイルス由来ODV-E66にもコンドロイチナーゼ活性があり,その中で高酵素活性ODV-E66を産生するバキュロウイルスBmNPVの感染宿主であるカイコ幼虫のCSを生化学的および免疫組織化学的に解析し,ウイルス感染機構との関連性に探求できた。
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Strategy for Future Research Activity |
高硫酸化CS活性ドメインを探求するために,多様な糖鎖長を持つCSポリマー(分子量5,000,10,000,30,000,100,000)とCSオリゴ糖(12糖)を調製し,それらと神経系受容体や神経細胞,およびヒト感染性病原体由来CS結合分子との親和性解析を行い,生理活性や感染機構・病態との関連性を追求する。バキュロウイルスコンドロイチナーゼODV-E66の酵素活性とウイルス感染機構との関連性,および宿主昆虫CSの感染防御機構について探求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
硫酸化糖鎖の合成や精製および精密構造解析のために,合成用試薬や精製用担体および解析用試薬・器具と共に,神経細胞培養や細胞試験の費用などに研究費を使用する。
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Research Products
(9 results)