2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570190
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
有坂 文雄 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (80133768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 周司 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (50376951)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / 分子集合 / 蛋白質間相互作用 / ものさし蛋白質 / 溶菌阻止 / テイルリゾチーム / T4リゾチーム / 溶菌 |
Research Abstract |
T4ファージ尾部の「ものさし蛋白質」gp29は尾部の長さを決定している蛋白質であり、これまで発現が困難であった。また、SDS電気泳動では当該バンドの位置に別の蛋白質も存在するため、同定も困難だったが、今回N末端にSlyDを付加し、さらにHis-Tag付加したコンストラクトを作成して大腸菌KRX株を形質転換し、発現させた。発現した蛋白質がgp29であることを確認するために、SDS-PAGEの当該バンドを切り出し、N末端配列分析を行ったところ、確かにこれがgp29であることを確認することができた。現在のところまだ発現量が十分でないため、超遠心分析による解析ができないが、発現が確認されたことにより、次年度には解析が行える見通しができた。他方、gp61.3(Sp蛋白質)はT4ファージの「溶菌阻止」現象に関与する蛋白質で、当研究室のこれまでの研究によって、gp61.3はテイルリゾチームgp5の溶菌活性は阻害するが、T4リゾチームgp eの活性は阻害しないことが明らかにされている。この現象を理解するために、gp61.3とgp5のテイルリゾチームのリゾチームドメインを共発現させて複合体を精製し、結晶化することに成功した。そして、この結晶を用いて1.15Åの分解能で構造を決定することができた。その結果、gp61.3はgp5リゾチームの活性部位の近傍に結合していることが分かった。また、この複合体形成にはgp5のGly322が重要であり、gp e がgp61.3と結合出来ないのはこのGly322に対応する残基がAspであって、その結果立体障害によってこの部分に重要な水素結合ができないためであろうと推定された。現在、これを生化学的に証明する実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ものさし蛋白質gp29は発現が今回確認された点で進歩があったが、おそらく発現後、細胞は際の段階でプロテアーゼによって切断されるために、大量に発現することが困難である。この問題を解決するために、1)細胞破砕時のプロテアーゼインヒビターの検討、2)無細胞系での発現の可能性、の2つの可能性を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のものさし蛋白質gp29の発現量の増大のためにもっとも可能性の高い方法として無細胞発現系の使用を考えている。また、gp29が結合する蛋白質のひとつはgp27と考えられるので、gp27との複合体を形成することを期待して、gp5, gp27とgp29の共発現系の構築と、各蛋白質を発現させた細胞を混合してから超音波破砕することによってgp29を含む複合体を単離することを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
gp29の発現のための無細胞系のキットの購入、蛋白質の精製のためのゲルろ過およびイオン交換カラムの購入などの他、通常のチップ、エッペンドルフチューブなどのプラスチック製品の購入に充てる。次年度、これらの無細胞発現系の経費がかさむ可能性を考えて出費を抑え、繰り越すことにした。
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Research Products
(18 results)