2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570232
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岡 敏彦 立教大学, 理学部, 教授 (40263321)
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Keywords | ミトコンドリア / オルガネラ |
Research Abstract |
1)本研究では,線虫の体壁筋細胞のミトコンドリア形態制御に関与するキネシン(CeKLP-6)のラット相同分子であるKLP6が,HeLa細胞のミトコンドリアの形態形成に関わるだけでなく,神経芽細胞neuro 2aにおいてneuriteでのミトコンドリア運搬に働くことを明らかにした。さらに,これまで報告されていたミトコンドリア運搬に関わる2つのキネシン(KIF5BとKIF1Balpha)との機能的な役割分担についても検討した。KIF5Bは主に細胞体において,KIF1BalphaとKLP6はneuriteにおけるミトコンドリア運搬に働くことが示唆された。また,KLP6とKIF1Balphaは共通の結合分子であるKBPを介して制御されていることが示した。これらの成果をまとめ,論文として報告した(Tanaka et al., 2011)。 KLP6機能の解析ためKBPとの結合を検討した結果,KLP6のFHAとモータードメインの両方がKBPの結合に必要であった。本年度は,KLP6のFHAドメイン変異体を作成し,KBPとの結合や細胞内ミトコンドリア運搬への影響を検討したが,野生型と顕著な違いは観察されなかったことから,FHAに保存されていないアミノ酸残基の寄与を今後検討する予定である。 2)ミトコンドリアのクリステ構造形成に関与する内膜タンパク質LETM1は,染色体欠損により引き起こされるヒトWolf-Hirschhorn症候群の原因遺伝子の一つである。その詳細な機能を解析するため,機能欠損点変異の同定を行った。 LETM1相同遺伝子(MDM38)を欠損した酵母株の生育相補を指標にヒトLETM1の機能変異を検索した結果,種間で高度に保存されたLETMドメイン内の2種類の点変異を同定した。本年度は,同定したLETM1変異体をHeLa細胞を用いて解析した結果,LETM1を含むタンパク質複合体の形成と過剰発現でのミトコンドリア断片化の両方を引き起こせないことが明らかとなった。この結果は,LETM1複合体がミトコンドリア形態に働く事を示唆している。
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