2013 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナルを介したフロアープレートによる脊椎分節機構の解析
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23570251
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪早 敬二 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (70302958)
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Keywords | 発生・分化 / メダカ / 骨形成 / 脊椎発生 / 骨芽細胞 / 分節性 |
Research Abstract |
fu-2は脊椎骨が融合し、脊椎の分節性が失われる自然発生突然変異体である。fu-2の原因遺伝子を同定するためにポジショナルクローニングを行ったところ、fu-2の原因遺伝子は染色体23番に位置していることが判明した。さらに詳細なゲノムマッピングを行った結果、原因遺伝子があると予想される領域は染色体23番の末端であり、メダカゲノムデータベース上に存在しない未知の領域であることが分かった。また、この未知の領域にマップされる複数のDNAマーカーを用いてBACクローンライブラリーのスクリーニングを行ったところ、2種類のBACクローンを単離することに成功した。次に、これら2種類のBACクローンの全塩基配列の決定を行ない、得られた塩基配列の情報を基にメダカensembleデータベースを再検索したところ、染色体23番未結合末端部の物理地図の更新を行うことができた。更新された物理地図によると、未結合領域は1Mbp以上にのぼることが明らかとなった。さらに、これらの未結合ゲノム断片に含まれる遺伝子を調べたところ、Wntシグナル経路に関与する遺伝子が2種類存在することが分かった。これらの遺伝子はfu-2原因遺伝子の最有力候補である。そこで当該年度では、fu-2において上記2種類の原因候補遺伝子の塩基配列を調べ、変異箇所の有無を確認した。しかしながら、これらの遺伝子の予想翻訳領域において変異箇所は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メダカfu2変異体の原因遺伝子を特定することが目的であったが、この原因遺伝子が染色体の末端部に位置していることが本研究により明らかとなり、通常のポジショナルクローニングの行程と比べ、原因遺伝子の特定が非常に困難な状況となった。この染色体末端部は既存のメダカ染色体データベース上に存在しておらず、染色体物理地図の作製を行う必要が生じた。また物理地図の作製のため、BACクローンクローンライブラリーをスクリーニングしたところ、予想に反して少数のクローンしか得ることができなかった。これらの理由を考慮し、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は再スクリーニングによって染色体末端に位置するBACクローンを新たに単離し、それらの全塩基配列を決定することで、より完全な物理地図を作製することが急務である。また、変異体の原因候補遺伝子をTALEN法などでノックアウトすることで、責任遺伝子を特定することも可能であろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はメダカBACクローンライブラリーから、原因遺伝子を含むと予想されるクローンの単離を試みた。しかしながら、単離できたBACクローンの数は予想に反して非常に少なく、次に計画していたBACクローンの全塩基配列の決定作業の行程の延期が余儀なくされた理由による。 再スクリーニングによってBACクローンを新たに単離し、それらの全塩基配列を決定することで、染色体末端の完全な物理地図を作製する予定であり、受託シーケンス解析を利用するために使用する予定である。
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