2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580034
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塚越 覚 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (40270863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 文雄 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 教授 (90159608)
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Keywords | 薬用植物 / 養液栽培 |
Research Abstract |
ミシマサイコの養液栽培において,灌液する培養液濃度を大塚B処方1/4単位,1/2単位,1単位とし,成育,養分吸収量,体内無機成分濃度,サイコサポニン濃度を測定した.地下部乾物重は,播種後11か月から13か月の間に1.7~2.5倍になったが,その後の3か月では1.1~1.2倍程度の増加にとどまった.よって,ミシマサイコの収量増加には,播種後11か月から13か月に当たる播種翌春~初夏の生育促進が重要と考えられた.展開葉数,草丈,吸水速度は1単位区で低下したため,好適な培養液濃度は2.4 dS m-1以下と考えられた.無機成分吸収濃度が最大となったのは6月中旬で,ミシマサイコの出蕾期であり,根が急激に生長する時期でもある.よってミシマサイコは生育速度が増大し始める播種の翌春から出蕾期に養分要求量が急激に増加するという吸収特性を示すと考えられた.体内無機成分濃度から,好適な培養液の無機成分比はN:P:K:Ca:Mg=7:5:8:1.5:2 me L-1程度と考えられた.さらに成育と灌液ECの関係から,ミシマサイコの養液栽培では,培養液濃度を通常は1.0~1.2 dS m-1程度に保ち,播種の翌春から出蕾期には1.5~2.0 dS m-1程度と高めに管理するのが,養分吸収特性に即した培養液管理法だと考えられた.乾物当たりの総サイコサポニン濃度に処理による差はなかったが,すべて採取時期において,局方基準濃度の0.35%を上回った.サイコサポニン濃度や地下部収量を考慮すると,ミシマサイコの養液栽培における収穫は出蕾期に行うのが望ましいと思われた.養液栽培で栽培した植物体は,栽培期間は慣行より短かったものの,成育量,含有成分量ともに生薬として利用可能なレベルに達していたと考えられ,養液栽培によるミシマサイコの生育期間短縮の可能性も示唆された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミシマサイコの養水分吸収特性や,体内無機成分濃度から,好適と考えられる処方が明らかにでき,さらに養液栽培でも日本薬局方の基準を満たす収穫物が得られたこと,慣行の栽培よりも短期間で同等の収量が得られ,ミシマサイコの養液栽培の有用性が明らかにできたことなどから,養液栽培技術の確立については当初の目的をほぼ達成できたと考えられるが,種子の発芽促進技術については,ばらつきが大きいために十分なデータが得られていないため,この評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
現有種子および今後採取できる種子を用いて,種子発芽の促進技術(ジベレリン処理,比重選,好適な温度など)について検討を進める.また,現有のミシマサイコ株については,播種3年目の株として品質評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に増設予定だった栽培装置が当初の計画よりも小規模の増設で済んだため,および種子発芽に関する試験が予定よりも遅れたために当該研究費が生じた.今後,現有の株を養液栽培し続けるための資材費,品質分析用の試薬,物品費などに使用する.また,予定より遅れている種子の選別,発芽促進処理,発芽試験などに必要な物品,試薬などに必要な経費として使用する.さらに,成果をとりまとめた論文が,平成25年度中に雑誌に掲載されるため,その掲載費として使用する.
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Research Products
(5 results)