2011 Fiscal Year Research-status Report
昭和初期の住宅地開発における地域らしさの継承に資する接道部の緑景観モデルの構築
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23580050
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加我 宏之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00326282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 昇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00181652)
下村 泰彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50179016)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 景観計画 / 居住環境整備 / 戸建住宅地 / 接道部緑化 |
Research Abstract |
本研究では、昭和初期に開発された住宅地を対象に、住宅更新と接道部の緑の変化実態を捉え、接道部の緑の継承度合いが異なる通り景観に対する景観評価調査、居住者への意識調査を通じて、昭和初期の住宅地開発における地域らしさの継承に資する接道部の緑景観モデルを構築することを目的とする。当該年度は、昭和初期に欧州の田園都市をモデルとして開発され、接道部にカイヅカイブキを設けることで個性ある地域景観が形成されてきたが、近年の住宅更新に伴って風格や地域らしさの喪失を招いている大美野住宅地(堺市東区)を対象に研究を行った。まず、昭和40年代から現在にかけて住宅更新に伴う接道部の緑の変化を見ると、500m^2以上の大規模区画では、接道部の緑は継承されやすく、200m^2以上500m^2未満の敷地では、建物の建替えによって接道部の緑を失った区画と接道部の緑を継承した区画や新たな緑を蓄積した区画が同程度発生していること、接道部の緑が継承された敷地では、カイヅカイブキの保有率が6割と高いものの、少なからず他の樹種の混在を確認した。次いで、居住歴が30年以上と長く大美野をよく知る居住者と近年住み始めた居住者を対象とした写真投影法を用いた調査を実施し、居住者が評価した大美野らしい景観と居住者が評価する接道部の緑景観の明確化を行った。結果、居住歴に係わらず街路景が大美野らしい景観として居住者に重視される傾向にあること、街路景ではカイヅカイブキの生垣とそれよりは若干劣るものの庭木やロータリーの要素が数多く捉えられること、西交差点付近と小学校前では両居住者ともにカイヅカイブキの生垣が連担した調和的な景観が捉えられ、大美野をよく知る人が捉えた景観は、カイヅカイブキの生垣がある曲線道路やカイヅカイブキの生垣と一体となった庭木のサクラ、北交差点付近では庭木や商業施設を含めたロータリーに集積することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度当初に、研究計画を精査し、複数の調査対象住宅地を同時に扱うことから調査対象住宅地を限定することで本研究の一連の調査方法を実施し、検証することが効率的と判断した。結果、大美野住宅地のみを対象に接道部の緑の変化の把握と居住者に対する意識調査を実施し、次年度以降に実施を予定していた研究成果の一部の研究成果を得た。また、他の住宅地の調査を進めるための調査方法の精査が行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
居住者に対する写真投影法を用いた調査結果によって居住者が評価する接道部の緑景観の具体像と位置が特定でき、地域らしさを破壊、継承する通り景観シミュレーションモデルの作成および景観評価調査が効率的に進められる。また、大美野住宅地を事例に住宅更新に伴う接道部の緑の変化の実態把握を行うことで本研究の具体の調査方法が確立でき、他の住宅地への調査方法の応用も効率的に進められる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度当初に研究計画を精査し、平成23年度に複数の住宅地を対象としていたが、平成23年度には、調査対象地を限定して接道部の緑の実態把握と居住者の意識調査の本研究の一連の調査方法を実施し、一連の調査方法の具体化と精査を図ることで平成23年度の研究費執行額を軽減した。平成24年度には、当初に予定していた他の住宅地を調査対象とし、その資料収集等に研究費が必要であり、平成23年度の残額を執行する予定である。
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