2012 Fiscal Year Research-status Report
昭和初期の住宅地開発における地域らしさの継承に資する接道部の緑景観モデルの構築
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23580050
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加我 宏之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00326282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 昇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00181652)
下村 泰彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50179016)
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Keywords | 景観計画 / 居住環境整備 / 戸建住宅地 / 接道部緑化 |
Research Abstract |
本研究では、昭和初期に開発された住宅地を対象に、住宅更新と接緑部の緑の変化実態を捉え、接道部の緑の継承度合いが異なる通り景観に対する景観評価調査、居住者への意識調査を通じて、昭和初期の住宅地開発における地域らしさの継承に資する接道部の緑景観モデルを構築することを目的としている。 当該年度は、過年度の大美野住宅地の居住者を対象とした写真投影法を用いた調査結果を踏まえ、住宅地の造成過程における接道部の緑の取り扱われ方を建設当時の事業主体の計画書等の文献調査を通じて探った。結果、住宅地の特色としてロータリーを中心とした放射状道路をもうけ、それらを環状道路で結ぶといった街路パターンとともに建設当初から約400㎡以上の敷地規模の設定のみならず20%の低建蔽率、接道部への生垣設置が試みられ、これらの接道部の緑景観は、当時の事業主体による建蔽率制限や生垣設置等の規制を設けたことによって形成されてきたものであることを明らかにした。居住者が好む通り景観の構成要素と接道部の緑の関係性を探った結果、点景や敷地際のみが捉えられた景観では、景観構成要素は緑のみならず地域に継承されてきた人工物も含めその景観構成要素の集積は見られないものの、居住者が好む景観を通りとして捉えられた通り景観では、生垣が景観構成要素の過半を占め、地域らしさの継承に向けた住宅地の景観形成において接道部の緑景観の重要性を明確化するとともに緑景観モデルの構築に向けた基礎データを蓄積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市近郊において開発されてきた郊外住宅地は、建物の老朽化や居住者の移り変わりに伴う住宅更新が盛んに行われ、それに伴い長い年月を経て成長してきた生垣などの接道部の緑が失われ、地域の個性ある風景が喪失しつつある。過年度には、昭和40年代から現在にかけての敷地分割や住宅更新に伴う接道部の緑の変化実態を明らかにするとともに、居住者が評価する住宅地景観と接道部の緑景観の関係性を明確化した。さらに、当該年度では、地域らしさの形成に向けて、開発当初の計画目標を明確化することで研究対象とする接道部の緑景観の地域らしさの継承に向けた意義を明確化することに取り組み、結果、住宅地の造成過程における接道部の緑の取り扱われ方を建設当時の事業主体の計画書等の文献調査を通じて探り、建設当初から住宅の建て方として低建蔽で規制することのみならず生垣植栽を規制し、住宅地景観の地域らしさを創成する上で接道部の緑景観の重要性を明らかにすることができた。また、居住者が好む通り景観の景観構成要素の分析を通じて、本研究で目的とする緑景観モデルの基礎データを蓄積した。
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Strategy for Future Research Activity |
過年度の研究成果を踏まえ、昭和初期の住宅地開発における地域らしさの継承に資する接道部の緑景観モデルを探るとともに、居住者の接道部の緑に対する意識及び保全方策、また、構築した緑景観モデルに対するアンケートやヒアリング調査を実施し、住宅更新時の景観ガイドラインを個々の宅地に対する視点のみならず通り景観としての視点から構築し、さらに、居住者に対する接道部の緑の維持管理コストの低減方策を緑化施策や景観施策の視点から提言し、昭和初期の住宅地開発における地域らしさの継承に資する接道部の緑景観形成に向けてハード面とソフト面の2側面からその方策を考察することを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過年度の研究成果を踏まえ、接道部の緑景観モデルのためのデータ作成、居住者を対象としたアンケートやヒアリング調査に研究費を充てるとともに、研究成果を精査することで学会等での研究発表を予定しており、論文投稿等に必要な経費を支出するとともに、最終年度の取りまとめに経費の執行を予定している。
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Research Products
(1 results)