2012 Fiscal Year Research-status Report
乳管細胞の新規な抗病原体・抗害虫タンパク質遺伝子の網羅的単離と機能解析
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23580091
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北島 佐紀人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70283653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00182460)
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Keywords | 乳液 |
Research Abstract |
前年度までのクワの乳液の網羅的RNA分析に加えて、本年度はタンパク質の網羅的分析を試みた。生物ストレスに対する多くの防御タンパク質が主要タンパク質であることを突き止めた。特に、若い枝組織の乳液においては、すでに報告した殺虫タンパク質LA-aおよびLA-bに加えてレクチン、PR-1タンパク、グルカナーゼ、キチナーゼが多かった。一方、木化した組織の乳液においては、キチナーゼ、レクチン、グルカナーゼが多く、その量比は、若い枝組織の乳液とは異なっていた。これらの事実は、乳液が生物ストレスに対する防御機能に特化していること、部位により想定する敵の種類が異なることを示唆する。本研究成果は、Plant Biotechnologyに掲載予定である。 乳液の機能的多様性を知るため、他の植物(イチジク、ミドリサンゴ)の乳液の網羅的RNA解析を試みた。mRNAを最新のilluminina HeSeq1000で解析しde novoアッセンブリを試みた。バイオインフォマティクス手法を駆使して、全長mRNAの再現を試みたが、内外の研究者も報告しているとおり、信頼性には疑問点があることが示唆されたので、次年度以降ウェット解析も併用して引き続きmRNA解析をすすめる。あわせてプロテオーム解析も進めて植物種間の乳液機能の多様性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳液が生物的ストレスに対する防御に特化することを、概ね想定通り示した。しかし、乳液試料を十分量入手することが困難のため、mRNA解析は1年程度遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
クワに加えてイチジクとミドリサンゴの乳液のmRNA解析を完了し、その成果を踏まえてプロテオーム解析をすすめる。最終的に3種の植物の乳液を比較して防御機能と種間差異を示す。いくつかの主要タンパク質については、精製標品もしくは組換タンパク質を用いてバイオアッセイを行い、抗菌・殺虫作用を実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
乳液RNA分析に使用する試薬の購入が当初計画より少なくなったため、未使用額が生じた。 平成25年度に実施予定の、RT-PCR等のmRNA分析、乳液タンパク質の2次元電気泳動泳動分析、組換タンパク質生産とバイオアッセイ等の試薬およびプラスチック器具購入等と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)