2011 Fiscal Year Research-status Report
カルシウム依存性レクチンの糖鎖認識機構及び細胞膜内イオンチャネル形成機構の解明
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23580137
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畠山 智充 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50228467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 英昭 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10452872)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | レクチン / 蛋白質工学 / 部位特異的変異 / カルシウム結合蛋白質 / 糖鎖 |
Research Abstract |
・糖鎖付加デンドリマーを用いたレクチン活性測定法の開発 本研究では,種々のレクチンの部位特異的変異体を作製し,その活性を検討する必要があるが,そのためには簡便かつ高感度な活性測定法が必要となる。しかしながら,現在一般に多く用いられているレクチン活性測定法は,感度や必要な試料量などの面で不都合な点が多いため,新規にデンドリマーを用いた活性測定法を開発した。方法としては,末端に64個の一級アミノ基を有するポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーを用い,このアミノ基と二糖以上の還元糖のアルデヒド基を還元的アミノ化反応を用いて縮合させることにより,末端に多数の糖を付加したデンドリマーを作製した。レクチンとの結合活性は,動的光散乱法(DLS)及びレイリー散乱測定を用いることにより,高感度かつ簡便に測定できることが明らかになった。・C型レクチンの部位特異的変異体作製とその糖結合特異性解析 C型レクチンファミリーは,共通する基本構造の一部のループ部分を変化させることにより,多様な糖鎖認識を可能にしていることから,人為的にこのループ部分に変異を導入することにより,糖結合特異性を変換することを試みた。対象としてはC型レクチンCEL-Iを用い,その糖認識モチーフであるGln-Pro-Asp(QPD)配列をGlu-Pro-Asn(EPN)配列にした遺伝子を部位特異的変異により作製し,発現ベクターを用いて大腸菌で発現させ,得られたタンパク質を精製した。CEL-IがN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)に対して特異的であるのに対して,この変異タンパク質(EPN-CEL-I)は,マンノースに対して特異性が高まっていることが確認された。このことより,CEL-Iの糖結合部位アミノ酸をさらに変化させることにより,よりマンノースに対する特異性が上昇するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標としていたレクチン活性測定法については,予想した基本特性を確認することができており,今後,実際にさまざまなレクチンへの応用に進むことが可能である。また,C型レクチンの部位特異的変異体についても,明瞭な活性の変換が確認されているため,順調に進展しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発してきたレクチン活性測定法をCEL-IIIをはじめとする部位特異的変異体の活性測定に応用し,その詳細な特性評価を行う。また,CEL-Iを含め,CEL-I以外のC型レクチンの部位特異的変異体についても種々のタンパク質を作製し,それらの糖認識機構の詳細を明らかにするとともに,X線結晶解析を用いて新しい糖認識能を有する新規人工タンパク質設計の基盤を作り出すことを重要な目標としていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費については,ほぼ予定通りの使用状況であることから,当初の計画通り,部位特異的変異体作製やタンパク質精製のための試薬・器具等の消耗品に主に当てることを予定している。また,海外での発表を含め,これまでに得られた成果を広く公表するための学会旅費等にも当てていく。
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Research Products
(4 results)