2013 Fiscal Year Annual Research Report
食環境による脂肪組織由来疾患遺伝子の発現制御と病態発症の予防・改善
Project/Area Number |
23580173
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 教授 (10336109)
|
Keywords | 肥満誘発性病態 / 脂肪組織 / アディポサイトカイン / 食事成分 / 抗炎症性 |
Research Abstract |
これまでの研究において、n-3PUFAによる抗炎症性アディポネクチンの産生能や脂質合成抑制能は炭素数および二重結合数に依存することが示唆された。そこで本研究では、n-3系極長鎖PUFAであるEPA(20:5n-3)、その炭素数が2個と二重結合数が1つ増えたDHA(22:6n-3)、さらに炭素数が2個増えたTHA(24:6n-3)の栄養生理作用について比較検討した。その結果、肥満・糖尿病モデルdb/dbマウスにおいて、THA摂取群>DHA摂取群>EPA摂取群の順で、炭素数と二重結合の数が多いほど肝臓肥大の改善作用および肝臓脂質濃度の低下作用が強いことが認められた。その作用機序としては肝臓における脂質合成系の抑制が寄与しており、炭素数と二重結合の数が多いほど抑制作用が亢進することが示唆された。しかしながら、アディポサイトカインの産生調節に関しては、腸管吸収から脂肪組織へのデリバリーによっても影響を受けることが示され、輸送に最適な形態で摂取することの重要性も示唆された。 また自己免疫性肝炎モデルを用い、抗メタボリックシンドローム作用が示唆されている各種リン脂質の影響について検討を行った。その結果、血中炎症性サイトカインや血中肝臓障害マーカーレベルが、ホスファチジルイノシトール摂取により有意に抑制されることが確認され、自己免疫性肝炎に対する進展抑制作用を持つことが示唆された。今後、より詳細な作用機序解明が望まれる。 本研究により、食事成分により善玉・悪玉両方のアディポサイトカイン産生調節が可能であることが示されたが、腸管吸収から脂肪組織への輸送に関する形態ついての研究が今後重要になることが明らかとなった。
|