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2011 Fiscal Year Research-status Report

マングローブのトリテルペノイド合成をとりまく耐塩性制御ネットワークの解明

Research Project

Project/Area Number 23580211
Research InstitutionUniversity of the Ryukyus

Principal Investigator

屋 宏典  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10177165)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岩崎 公典  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (50347134)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords耐塩性 / マングローブ植物 / トリテルペノイド / 出芽酵母 / 細胞膜
Research Abstract

熱帯・亜熱帯の汽水域に生育するマングローブ植物は耐塩性の強い植物であり、独自の耐塩性機構を発達させてきたと考えられている。これまでに我々は長期の塩ストレスを負荷したマングローブ植物の根においてトリテルペノイド濃度が上昇していることを見出しており、トリテルペノイドが長期的な耐塩性形質の獲得に寄与する可能性を示してきた。本研究ではマングローブ植物の耐塩性形質におけるトリテルペノイドの機能を明らかにすることを目的として、塩ストレスに応答したトリテルペノイド合成制御について解析を行った。自然界のマングローブ植物は沿岸部(すなわち塩濃度が高い場所)に生育する種ほど根におけるトリテルペノイド量が高いこと、さらにはトリテルペノイド合成遺伝子の発現量とトリテルペノイド濃度は共に塩濃度に比例して変化することを明らかにした(Basyuni M. et al., 2012, Aquatic Botany)。また我々は以前より、トリテルペノイドは植物ステロールに代わる膜脂質として機能することで耐塩性形質の獲得に寄与している可能性を指摘している。具体的には、トリテルペノイドが植物自体の膜構造を変化させることで、耐塩性形質を作り上げていると想定している。 本研究においては、この仮説を検証するため出芽酵母を用いた評価系にてトリテルペノイドが耐塩性形質に及ぼす影響を検討した。トリテルペノイド合成遺伝子を出芽酵母で発現させ、細胞内トリテルペノイド濃度を上昇させた場合には塩ストレス耐性は低下すること、及びそれら酵母の細胞膜画分にはトリテルペノイドが含まれていることが確認された。一方では、トリテルペノイド含有培地で生育した出芽酵母の塩ストレス耐性が上昇することが確認された。本研究により、トリテルペノイドが細胞膜の構造脂質として機能しているとする仮説を支持する成果を得ることに初めて成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マングローブ植物におけるトリテルペノイドの機能とそれを取り巻く耐塩性制御ネットワークを明らかとすることが本研究の最大の目的である。特に、トリテルペノイドは細胞膜構造脂質として機能することで植物自体の構造を変化させ、長期の耐塩応答に関与していることを明らかにすることを目的としている。現在までに申請者等は、マングローブ植物の根におけるトリテルペノイド量及びその合成遺伝子発現の変化が塩ストレスに応答した定量的な変化であることを明らかにしている。さらには出芽酵母を用いた評価によって、トリテルペノイドが細胞膜の構造脂質として耐塩性に寄与しているとした我々の仮説を支持する証拠を初めて得ることに成功したと判断している。これらの研究結果はトリテルペノイドが耐塩性制御のネットワークに組み込まれて機能していることを強く支持するものであり、今後の課題となる「耐塩性制御ネットワークの解明」の基本的な知見を固めたことが出来たと我々は考えている。以上のような理由から、総合的な自己評価としては「おおむね順調に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

平成23年度の研究成果を踏まえた上で、我々は主に以下の2点について明らかにしたいと考えている。1 塩ストレス負荷後のマングローブ植物における遺伝子発現をトランスクリプトーム解析により明らかにし、塩ストレス応答の時系列的な流れを明らかにする。また、マングローブ植物のゲノムライブラリーを作成し、トリテルペノイド合成遺伝子のプロモーター領域の決定を行う。これらの評価によって、マングローブ植物における塩ストレス応答によるトリテルペノイド合成遺伝子の発現制御機構の概要が明らかにできるものと期待している。2 トリテルペノイドが細胞膜の構造脂質として機能することで細胞膜の流動性や剛性に変化を与え、植物体の耐塩性形質の獲得に寄与することが予想される。本年度はトリテルペノイドの濃度上昇による細胞膜の流動性の変化を解明するために、出芽酵母細胞膜の物理的性質すなわち秩序因子や回転拡散係数への影響を共同研究により検証する計画である。この評価により構造脂質としてのトリテルペノイドの機能に関する直接的な証拠を提出できるものと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費は消耗品類の購入ならびに成果発表のための旅費として使用する計画を立てている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Salinity increases the triterpenoid content of a salt secretor and non-salt secretor mangrove.2012

    • Author(s)
      Mohammad Basyuni, Shigeyuki Baba, Yuji Kinjo, Hirosuke Oku
    • Journal Title

      Aquatic Botany

      Volume: 97 Pages: 17-23

    • DOI

      10.1016/j.aquabot.2011.10.005

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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