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2012 Fiscal Year Research-status Report

マングローブのトリテルペノイド合成をとりまく耐塩性制御ネットワークの解明

Research Project

Project/Area Number 23580211
Research InstitutionUniversity of the Ryukyus

Principal Investigator

屋 宏典  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10177165)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岩崎 公典  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (50347134)
Keywords耐塩性 / マングローブ / トリテルペノイド / 遺伝子発現 / プロモーター
Research Abstract

本年度は塩ストレス負荷後のマングローブ植物における遺伝子発現のトランスクリプトーム解析を行い、塩ストレス応答の時系列的な流れを明らかにすることを目的として、ヤエヤマヒルギで発現している遺伝子のカタログ作りとトリテルペノイド合成遺伝子のプロモーター領域のDNA塩基配列の決定を行った。
まず、メヒルギで発現している遺伝子のcDNAを合成し、次世代シーケンサー(Illumina)による塩基配列の決定と配列のアセンブル及びアノテーションを行った。4.79Gbpの配列のアセンブルを行い、71409本のトランスクリプト(平均長811bp)のDNA塩基配列情報を取得した。これらのうち約70%についてはNCBIのタンパク質データベースとの相同性比較により機能を推定することが可能であった。 また、ヤエヤマヒルギに塩ストレスを負荷し、根から経日的にcDNAを調製し、ギガシーケンサーでDNA塩基配列を決定した。
次いで、メヒルギのトリテルペノイド合成遺伝子(KcMS)及び植物ステロール合成遺伝子(KcCAS)のプロモーター領域の塩基配列をGenomeWalker Universal Kitを用いて決定した。KcMSについては内部配列を含む849bpのプロモーター領域の塩基配列を決定した。この領域には、植物ホルモンであるアブシジン酸応答性に関与するABREやジベレリン応答性のGAREの他に代表的なコンセンサス配列であるCAAT-box, CGTA-motif, G-Box等のシスエレメントが含まれていた。KcCASについては867bpのプロモーター領域の配列を決定した。この配列には、GAREエレメントやCAAT-box等のシスエレメントが含まれていた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マングローブ植物におけるトリテルペノイドの機能とそれを取り巻く耐塩性制御ネットワークを明らかとすることが本研究の最大の目的である。特に、トリテルペノイドは細胞膜構造脂質として機能することで植物自体の構造を変化させ、長期の耐塩応答に関与していることを明らかにすることを目的としている。初年度は、マングローブ植物の根におけるトリテルペノイド量及びその合成遺伝子発現の変化が塩ストレスに応答した定量的な変化であることを明らかにした。さらに、出芽酵母を用いた評価によってトリテルペノイドが細胞膜の構造脂質として耐塩性に寄与しているとした我々の仮説を支持する証拠を初めて得ることに成功した。これらの研究結果はトリテルペノイドが耐塩性制御のネットワークに組み込まれて機能していることを強く支持するものであり、今後の課題となる「耐塩性制御ネットワークの解明」の基本的な知見を固めたことが出来たと我々は考えている。さらに次年度はネットワーク解明のための遺伝子配列のカタログ作り及び塩ストレス負荷後の経日的な遺伝子発現データおよびテルペノイド合成酵素のプロモーター領域の塩基配列の決定を終えた。最終年度はこれらの解析と検証を行い、マングローブ植物におけるトリテルペノイドの機能とそれを取り巻く耐塩性制御ネットワークを明らかにできる見通しがついたと判断している。以上のような理由から、総合的な自己評価としては「おおむね順調に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

1本年度は前年度に得られた、ヤエヤマヒルギの遺伝子配列カタログを基に、塩ストレス負荷後の経日的な遺伝子発現変動を解析する。また、メヒルギのテルペノイド合成酵素遺伝子のプロモーター配列情報を基に、マングローブにおける塩ストレス負荷後の耐塩機構の概要及びテルペノイド合成の役割を明らかにする。
2マングローブには構造の異なる数種のテルペノイドが検出されるが、構造の違いが耐塩性にどのように影響するかは明らかではない。これまで酵母を用いた機能スクリーニングによりいくつかの耐塩性遺伝子が同定されている(Yamada et al. 2002, Plant Cell Physiol; Eswaran et al. 2010, BMCBiotech)。これらの報告は酵母が耐塩性の検定に有用であることを示している。そこで、本年度はトリテルペノイドの種類の影響を明らかにするため、基質特異性の異なるテルペノイド合成遺伝子を酵母に導入し、耐塩性に及ぼす影響を評価する。
3シロイヌナズナでテルペノイド合成酵素遺伝子を過剰発現させ、酵母の場合と同様に耐塩性に及ぼす影響を評価する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費は消耗品類の購入及び成果発表のための旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] Salt-dependent increase in triterpenoids is reversible upon transfer to freshwater in mangrove plants Kandelia candel and Bruguiera gymnorrhiza2012

    • Author(s)
      Mohammad Basyuni, Shigeyuki Baba, Yuji Kinjo, Lollie A.P. Putri, Luthfi Hakim, Hirosuke Oku
    • Journal Title

      J Plant Physiol

      Volume: 169 Pages: 1903-1908

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Non-saponifiable lipid composition of four salt-secretor and non-secretor mangrove species from north smatra, Indonesia2012

    • Author(s)
      Mohammad Basyuni, Lollie A. P. Putri, Julayha, Hasbi Nirainum, Hirosuke Oku
    • Journal Title

      Makara Journal of Science

      Volume: 16 Pages: 89-94

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2014-07-24  

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